こんにちは、お魚の豆知識や雑学をお届けする「ととナビ」です。
今回は日本で最も食べられているお魚、「鮭」についてお話しします。
鮭の名前の由来は諸説あり、身が裂けやすいことからそう呼ばれたという説や、アイヌ語の「シャケンペ」から伝わった説などが知られています。
今回は「鮭とサーモンの違い」、「鮭の一生」、「母川回帰の不思議」、「幻の魚:鮭児ってなんだ!?」という内容を解説していきます!
鮭とサーモンの違い
鮭やサーモン、どちらも同じ魚を示す言葉ではありますが、その違いはなんでしょうか?
実は、鮭は加熱食用の天然モノ、サーモンは生食が可能な養殖モノのことを言います。
なぜ名前によって食べ方が分けられているのかというと、「アニサキス」という寄生虫が関連します。
アニサキスは鮭が自然界で補食するエサに紛れ込んでいるため、天然の鮭にはアニサキスが感染している可能性が高いのです。
一方でサーモンは、主に漁業関連者から与えられるペレットを主食としています。ここにはアニサキスが含まれていないため、感染することはありません。
生きているアニサキスは食中毒の原因となりますが、アニサキスは熱を加えると死滅するため天然の鮭は加熱調理が必要なのです!!
鮭の一生
鮭は川の中で生まれます。生まれた時はお腹にヨークサックと呼ばれる卵黄成分が付着しており、この養分を少しずつ消費して大きくなっていきます。そして徐々に成長していくと水中の生物を捕食できるようになります。
そして旅立つ時がきたら、体表が銀色に変化し、大海原に巣立っていきます。
海にいる鮭はオホーツク海、北太平洋、ベーリング海、アラスカ湾などを回遊し、比較的水温の低い海で1-10年弱過ごしていきます。どうしてそんな寒い場所をわざわざ選ぶのかというと、低水温に身を晒して自身のエネルギー消費を抑えるためだと言われています。
そして繁殖の準備ができると生まれ故郷である川(母川)へ最後の旅へ出ます。これを「母川回帰」と言います。
母川にたどり着くと、食べ物を口にせず、ただただ卵を産める上流まで突き進んでいきます。上流にたどり着くと、体中ボロボロになりながら川底に穴を掘り、やっとの思いで卵を産みつけます。そして、次の世代に全てを託して親鮭は息を引き取ります。
鮭の死骸は周辺に住む様々な生物のエサとなり、そしてそこで発生したプランクトンが鮭の稚魚の最初のエサとなります。
鮭の一生には、子孫繁栄のために全身全霊を注ぐ生命(いのち)のドラマがあるのですね。
母川回帰の不思議
そもそもどうやって、遠く離れた海から生まれ故郷までたどりつくことができるのでしょうか?
実はこの謎は完全に解明されていませんが、有力な説は複数存在しています。
嗅覚刷り込み説
多くの研究から、鮭の鼻を詰まらせてみると、母川に帰ってくることはできないことが明らかになりました。これは子供時代に母川特有の匂いを瞬時に記憶し、帰ってくるその時まで故郷の匂いを覚えているのだということです。
コンパス説
流石に遠く離れた海から匂いだけを頼りに帰ってくることは難しいです。
コンパス説は、自身の体内時計と、太陽の高さや位置から大まかな現在地を推定するGPSのような能力を持っていたり、体内にある方位磁石でどこを向いているかがわかる能力を活用しているという説です。
ミツバチやハトなどがこの能力を実際に持っており「鮭にもあるのではないか?」と言われています。
海流活用説
外洋の海流に乗って回遊方向を認識しているという説です。
実際にウミガメやその他海洋生物はこの能力を持ち合わせているため、鮭もそれができてもおかしい訳ではありません。
幻の鮭:鮭児ってなんだ!?
天然の鮭には、1万尾に1尾しか取れない幻の鮭がいます。
これは通常の鮭より数倍〜十倍も脂が乗っている、全身がトロみたいな味わいの夢のような鮭です。
こんな貴重な魚はスーパーに並ぶことは滅多になく、北海道の特定の漁港やインターネットでしか手に入れることができません。
研究によると日本由来の鮭ではなく、ロシアのアムール川から派生した鮭であることが知られています。
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