うなぎが蒲焼になるまで【産地レポート④】

うなぎを捌く とと

先ほど紹介した一色漁業協同組合では、うなぎの養殖~選別だけではなく、蒲焼などへの食品加工も一貫して管理・実施しています。


今回は先ほど選別~洗浄されたうなぎが蒲焼になるまでをレポートしていきます。

蒲焼工場レポート

蒲焼工場に入るには、とても厳格な衛生管理操作を行うことが必要になります。


まず、専用の白衣とキャップを身につけ、その上からマスクをつけます。全身の着替えが終わってからしっかりと手洗いをして、その後で手指を消毒。


これで終わりではありません。

『エアシャワー』と呼ばれる清浄化された高圧の空気を人や衣服に吹きかけて付着した塵埃などを徹底的に取り除く部屋をくぐりぬけてから、ようやく工場内に入ることができます。

エアシャワーの音と勢いがとても強くて、ちょっぴりよろけそうになってしまいましたが、何とかクリア!

いよいよ工場内へ潜入です!

「鰻包丁」でうなぎをさばく

工場の中では職人さんが搬入されたうなぎを手作業でさばいています。

機械でさばいているのかな?と思いましたが、ここは職人さんでなければさばけない重要な工程のひとつなのだそうです。

うなぎは「鰻包丁」と呼ばれる独特な形をした専用の包丁でさばくのですが、職人さん毎にマイ包丁を持っています。

一人ひとりの扱い方やクセ、使うときの研ぎ方で使っていくうちにそれぞれの人に合った形になっていくそうです。そのため、包丁には持ち主の職人さんの名前が刻印されており、使わないときは専用の棚にしまわれています。

職人さんたちはだいたいcheck1人で1時間35~40kg(約160尾)のうなぎをさばくことができるとのこと。つまり、1分あたり2~3匹のスピードでさばいていることになります。まさに神業ですね!

目にも止まらぬ速さでさばかれたうなぎはいよいよ焼きの作業に入ります。

「焼き」作業

専門店と同じように、焼き・蒸し・たれ付けの工程を行っているため、手間はかかりますが、とてもおいしい仕上がりになるのとことです。どのような工程かというと・・・

  1. 皮目を上にして焼く
  2. 裏返してさらに焼く
  3. 30分ほど蒸す(白焼きはここで出荷)
  4. たれを付けては焼く工程を3度繰り返す
  5. 仕上げダレを付けて4度目の焼きを終えたら出来上がりです!

こんなにもたくさんの工程を経て作られた一色うなぎのかば焼きは、おいしいそうな焦げ目としっかりとしみ込んだタレの光沢、そして香ばしい香りのたまらない仕上がりです!


このおいしさを損なわないうちにうなぎの蒲焼を急速冷凍していきます。

急速冷凍

レーン自体が白く凍るほどの低温になった急速冷凍の機械内部を通すことによって、一気に芯まで冷凍し、おいしさをしっかりと閉じ込めていきます。

約30分ほどかけて、らせん状になった急速冷凍機の中を通り抜けたうなぎですが、凍っているはずなのに出てきた時の見た目は入る前とほとんど変わりがありません!


それもそのはずで、check瞬間的に冷凍することによって、霜などもつかず、おいしさが損なわれることがないようしっかりと温度を調整されて冷凍されているのだそうです。


見た目は変わらなくても、おいしさを閉じ込めた状態でしっかりと芯まで凍っています。

真空パック

最後にこの芯まで凍ったおいしい一色うなぎの蒲焼は真空パックに詰められ、熱処理によって殺菌されていきます。

商品にもよりますが、熱処理殺菌を行う時間はだいたい15~20分程度。安全のためにもしっかりと殺菌された後で箱詰めされ、それから全国に向けて発送されていきます。

今回は色々な機械の中を通り過ぎるうなぎにびっくりしたり感動したりしっぱなしだったのですが、「なぜ4度もタレをつけて焼くのか?」という疑問が残りました。

素人丸出しで恥ずかしい質問かもしれないと思いつつ尋ねてみると、

「お母さんのぶりの照り焼きと同じことですよ」

とのこと。ちょっとわかりにくかったので、もう少し説明を求めると、薄めの煮汁を何度もぶりにかけながら照り焼きにしていくことによって中心まで愛情と味がしみ込むし、美しい照りも出るから…だそうです。

濃いタレを1度つけただけでは味がしみ込まないだけではなく、焦げてしまうだけでおいしくならなかった、とのお話も伺うことができました。4度がけは研鑽の賜物だったわけですね。

出来上がった一色うなぎの蒲焼を食べさせていただきましたが、とろけるように柔らかく、ジューシーで、脂乗りも最高!味もしっかりしみ込んでいて、付属のタレをかけなくてもおいしくいただけてしまいました!!

養鰻場の方から漁業協同組合の方まで、たくさんの愛情をもらって育てられ、加工された一色うなぎ、本当に最高においしかったです!

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