マルハニチロの現況ですが、漁業・養殖が不振で、商事は外食向けが低調です。 ただ量販・宅配向けは拡大しています。
会社営業益は横ばい圏。戦略的にアジアを重視しておりベトナムの水産・食品加工会社のサイゴンフードを21年1月に子会社化しており、業績影響は当面軽微ですが、今後に期待がかかります。
内食需要が強く冷凍食品は米飯・麺・中華など主食商品中心に拡販しています。
会社側の2022年3月期の連結業績予想は売上高が8200億円、営業利益が200億円。今期より収益認識に関する会計基準を適用するため前期比増減率はありませんが、2021年3月期実績に収益認識基準を適用した場合の会社側概算値との比較では1%増収、営業利益は23%増を見込みます。
なお、今期からセグメント分類を変更。漁業・養殖事業、商事事業、海外事業を統合し水産資源事業に変更しました。従来商事事業に含まれていた畜産商事を加工事業に移管した格好です。
水産資源事業は北米のサケマス事業撤退に伴う海外の採算改善などで増益を計画。養殖、水産、荷受なども販売拡大を図る計画です。加工事業は家庭用の加工食品や冷凍食品の巣ごもり需要は一巡するとみていますが、業務用食品で一定の回復を見込むほか、畜産で豚肉の採算改善を想定。
このように、業績に関しては今後上向く予想をしています。 では具体的な数字についてみてみましょう。
マルハニチロの決算について
今後の株価を予想するうえで会社の決算内容は非常に重要です。マルハニチロの2018年からの決算を載せておきましたので確認してください。
決算期 | 売上高 | 営業益 | 経常益 | 最終益 | 修正1株益 | 1株配 |
2018.03 | 918,820 | 24,497 | 27,917 | 16,102 | 305.9 | 40 |
2019.03 | 922,468 | 21,758 | 25,233 | 16,695 | 317.2 | 40 |
2020.03 | 905,204 | 17,079 | 19,901 | 12,537 | 238.2 | 40 |
2021.03 | 862,585 | 16,208 | 18,130 | 5,778 | 109.8 | 40 |
予 2022.03 | 820,000 | 20,000 | 21,000 | 14,000 | 266.1 | 40 |
2021年は新型コロナウィルスの影響で大幅に最終利益が減りました。しかし、2022年の決算予想は2021年から大幅に回復する予想です。
では、決算を見たうえで、株価などをみていきましょう。(2021年6月4日現在)
<マルハニチロの現在の株価>
- 株価:2,455円
- 予定年間配当:40円
- 年間配当利回り:1.62%
- 予想PER:9.2倍
- PBR:0.90倍
下のチャートはマルハニチロの5年間の株価チャートです。
出典:https://minkabu.jp/stock/1333/chart
長い間、低迷していることがわかりますが、ここ最近に来てようやく下げ止まった感じもあります。2022年の大幅な増益予想を考えると今後大きく株価が上昇する可能性はあるのではないでしょうか?
ではマルハニチロは同業他社対比どのような位置にいるのでしょうか?
マルハニチロ | 極洋 | 日本水産 | |
株価 | 2455円 | 2935円 | 540円 |
売買単位 | 100株 | 100株 | 100株 |
時価総額 | 1292億円 | 320億円 | 1687億円 |
上場市場 | 東京証券取引所一部 | 東京証券取引所一部 | 東京証券取引所一部 |
決算月 | 3月 | 3月 | 3月 |
株主優待 | あり※ | あり | あり |
PER | 9.2倍 | 9倍 | 11.2倍 |
PBR | 0.9倍 | 0.78倍 | 0.89倍 |
配当利回り | 1.60% | 2.70% | 1.75% |
ROE | 4.20% | 10.50% | 8.96% |
自己資本比率 | 26.81% | 34.71% | 35.67% |
マルハニチロは同業他社と比べるとROEの低さが目立ちます。ROEとは自己資本利益率のことで、数値高ければ高いほど資本を効率的に使って経営が出来ているということになります。
他社対比2倍の差が出ているので、今後改善の余地がありそうです。
※マルハニチロの株主優待の内容
- 権利確定…3月末
- 対象株主…毎年3月31日現在において、マルハニチロの株式100株以上を所有の株主
- 優待内容…マルハニチログループの取扱商品を無償贈呈。下記5種類の商品の中から、希望の商品を1品選択できる。(希望の優待品が不明確な場合などは「DHA入り リサーラソーセージ」を送付とする。
- 水産缶詰詰合せ
- 瓶詰詰合せ
- 海苔詰合せ
- DHA 入りリサーラソーセージ
- ラ・カンティーヌ詰合せ
主力セグメントの状況
マルハニチロの稼ぎ頭は加工事業です。では加工事業の状況についてみていきましょう。
加工事業は、家庭用冷凍食品の製造・販売を行う家庭用冷凍食品ユニット、缶詰・フィッシュソーセージ・ちくわ・デザート等の製造・販売を行う家庭用加工食品ユニット、業務用商材の製造・販売を行う業務用食品ユニット、及び化成品・調味料・フリーズドライ製品の製造・販売を行う化成ユニットから構成されています。
2021年期の加工事業の売上高は226,659百万円(前期比3.3%減)、営業利益は8,002百万円(前期比16.5%増)となりました。
マルハニチロの加工製品の評価は非常に高く、今後も期待できる分野であるといえるでしょう。
まとめ
今回は、マルハニチロの今後の株価予想について執筆をしました。マルハニチロの株価はここ数年、低迷が続いていますが、ようやく下げ止まりになりつつあります。
コロナウィルスの影響で、経営環境は依然厳しいですが、主力セグメントである加工事業の評価は高く、コロナ禍の今、大きな需要を見込める分野です。
急速に株価が上がることは難しいかもしれませんが、今期の決算予想を見ると、今後、株価が上がる可能性は十分にあるといえるのではないでしょうか?
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