「魚籠~とある魚屋からの脱出~」開発後記 Part.2

スマホゲーム ととや日記

【序文】

当記事をご覧くださりありがとうございます、脱出ゲーム「魚籠~とある魚屋からの脱出~」
開発全般を担当させていただきました羽稲まをと申します。


こちらの記事は「魚籠~とある魚屋からの脱出~」開発後記 Part.1 の続きとなっております。


前回の記事をまだご覧になっていないという方は、Part.1を読んだ後にこちらを読んでいただけると、
より一層楽しんでもらえると思いますので、是非前回も併せてご覧ください!

今回は今作ではなぜ“脱出ゲーム”というジャンルを起用するに至ったかについてを2つの項目に分けて、お話しさせていただきます。

羽稲の苦悩と葛藤、そして無駄に高いプライドとこだわりを描きましたので、是非お楽しみください。
では、「魚籠~とある魚屋からの脱出~」開発後記 Part.2 本編に入ります、どうぞ!

【”魚”という題材をどうゲームに落とし込むか】

そんなこんなでゲーム制作が決定したのですが、お仕事でのゲーム制作自体は私はもとよりお二方も
初めてということで、開発はノウハウがある羽稲にテーマやジャンル、ゲーム内容に至るまで、ほぼ全ての内容を一任していただくことになりました。


これだけでも大分恐れ多い上に光栄なことなのですが、ここで一つ大きな問題に直面します。

そう、“ゲームに起用できるジャンルが多すぎる”ということです。


選択肢は多ければ多いほどいいのではないか、そう思う方もいるかと思います。ですが、企画の段階では一概にそうとも言えないのです。


せっかくととラボさんからリリースするゲームなので、主軸に「魚」を据えるということはすぐに
決まりました。


しかしその他に指定がなかった事から、ゲームに用いるジャンルを絞るのが逆に難しくなってしまった
んですね…。

その上に私を困らせたのがテーマとなる”魚”です。


皆さんご存じの通り”魚”って生物の名称です、個体名なんです。

なぜゲーム制作の際にテーマが名称だと困るのかというと、個体名って必ずしもゲームのギミックや
アクションに直結するとは限らないものだからです。もしテーマが動詞や名動詞などである場合はゲームの根幹であるジャンルに大きく影響してきます。


例えば「泳ぐ」をテーマにした場合、泳ぐキャラクターを操作するアクションゲームや泳ぎの速さ
を競うレースゲームなど、結構簡単にゲーム内容やジャンルを絞ることができるんですね。

あとはそこにそのゲームの目玉となる特有のアクションだったり、ギミックを考えて実装できるように
形にしていけばおのずといい感じになります。(それはそれで難しいんですけどね…)


ただ今回はそれが難しかったんです、言ってしまえば個体名をテーマにすれば結構やりたい放題でき
ちゃう訳ですから(笑)


“魚”を料理してもいいし、”魚”が主人公になって戦ってもいい、まさに可能性は無限大に広がっていってしまいます。


でもこれをやってしまうと「それって別に魚じゃなくても良くない?」って私は思うんです。”魚”を別のものに置き換えても成立してしまったら、テーマとして本当に消化できたとは言えないんじゃないかって。


そしてあーでもない、こーでもないと色々と考えた結果、

「ゲームをしていて”魚”を意識せずにはいられず、”魚”について考えながらプレイできるもの」

をコンセプトに、最終的にたどり着いたのが“脱出ゲーム”というジャンルのゲームでした。

【なぜ”魚”というテーマに”脱出ゲーム”を選んだのか】

さて、上記の項目にてゲームのテーマについて簡単にご説明しましたが、こちらでは実際にこの脱出ゲームのゲームシステム、中身の部分についてのお話をしたいと思います。

そもそも脱出ゲームとは何ぞやという方もいるかもしれませんので少し触れておきます。


脱出ゲームとは、その名の通り閉鎖された室内や建物からの脱出を目的とした内容のゲームで、
ADV(アドベンチャー)ゲームのジャンルの一種です。


同様の内容を目的としたゲームは1980年代頃には存在していたようですが、その存在が広く認知され始めたのは2000年頃からと言われており、現在ではリアルイベントが開催されるほどの人気を持つゲームの一つとされています。


そんな脱出ゲームですが、ゲームの性質上比較的広い範囲の内容で制作することができます。


それが前述したとおり今回”脱出ゲーム”をゲームジャンルとして取り入れるようになった理由の一つ
です。


では、具体的に今作を作るうえで”脱出ゲーム”の何が良いかったのかを述べていきたいと思います。


まず1つ目はゲームの肝となる”アクション”と”ギミック”に”魚”の要素を絡ませやすかったという点
です。


こちらも前の項目で記述したとおり、制作するうえで”魚を別のものに置き換えても成立する”という
テーマの使い方をしたくなかったこともあり、今作では主人公に”魚”を起用しませんでした。

そうするとなるとまた別のアプローチでテーマを消化しなくてはなりません。


ですが言ってしまうと、ゲームのテーマを一番にプレイヤーに伝えやすいのは自身の分身となって
操作することになる主人公やそれに付随するストーリーなんです。


でも、主人公は”魚”にしたくないし、”脱出ゲーム”というゲームの性質的にストーリーに大々的に
絡めるのも難しい、そうなると次にプレイヤーにテーマを意識させやすいのって、プレイしているゲームのメインの部分、プレイヤーが行う”アクション”とそれを起こすための”ギミック”になると思うんです。


そこで今回起用した”脱出ゲーム”というゲームのシステムが生きてきます。


プレイヤーはゲームを進行する上で、脱出するために必要な謎解きやアイテムの入手を各場所に仕掛けられた”ギミック”を何らかの”アクション”を起こすことで攻略し、先に進めるようになります。


そう、これらに”魚”の要素を含めることによって、否が応でもプレイヤーに今作のテーマである”魚”
という要素を意識せざるを得ない状況を作ることができるのです。


ちょっとずるい気もしなくもないですが、なんとこれにはもう一つの利点があるのです。


それが二つ目の良い点となるステージに用いる“グラフィック”による視覚への効果です。


ギミックに”魚”を絡ませているのですから、必然的にステージに用いるグラフィックにもおのずと
“魚”の要素は強くなります。


一見やっていることはすごく単純に思えますが、人間は五感による知覚のうちの約83%を視覚から得て
おり、外部からの情報の大半を視覚に頼っていると言っても過言ではないといえます。


それに加え、一部の箇所には”魚”にまつわる音も交えることによって更に聴覚への情報も合わさり、
より一層プレイヤーに”魚”というテーマを印象付けることができるのです。


そういった理由から、私は今作に”脱出ゲーム”というジャンルを起用することを決めました。

【次回予告】

いかがでしたでしょうか?今回は今作はなぜ”脱出ゲーム”というジャンルを起用するに至ったかについてを2つの項目に分けて、お話しさせていただきました!


次回はちょっとまじめなお仕事っぽい話がメイン!?今回のゲーム制作での開発工程をまたまた2つの
項目に分けてお話しさせていただきたいと思います!


今回もここまで読んでくださってありがとうございます、次の記事もぜひ見てくださると嬉しいです!ではまた次回お会いしましょう~!

profile 羽稲 まを (はいね まを) 

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フリーゲームデザイナー

専門学校時代、ゲームデザイナーを志すも周りに絵を描ける人材がいなかったため
独学でイラストを勉強、絵も描けるゲームデザイナーとして重宝された。


道半ばで「自分、デザイン関連の方が向いてるのでは?」と、ウェブデザイナーを志し
またも独学で「ウェブデザイン技能士」を会得するも、大事故に遭い九死に一生を得る。


現在はフリーゲームデザイナーとして活動中、お仕事ください!!

Twitter:hainemawo400

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