全国各地のイカの話 佐賀県 呼子編

呼子のイカ とと

さて、皆さんに復習問題です!!

イカの旨味を決める重要な要素がいくつかありましたがなんだったでしょうか?

ここまで私の記事に付き合ってきていただいたイカマスターの皆さんなら簡単ですよね!

おや、わからない?
そしたら是非とも今まで書いてきたイカ記事を見直してみてくださいね。

今回はいろいろな要素の中でも「鮮度」を非常に売りにしているイカの街をご紹介したいと思います。

なぜ「鮮度」がおいしさを決めるかご存じですか?

なんとなくですが「魚は鮮度が命」とうイメージは持っていると思いますが、
「なぜ鮮度がよいとおいしいのか」と考えて事はあるでしょうか?

実はこの部分が盲点なんです!

水産業関係者の中でも意外と知らない人が多く、皆さん感覚的に「鮮度がよい=うまい」と体で覚えています。いろいろな理由はありますが、一般的に考えられているのは旨み成分であるイノシン酸の含有量に影響されるからという説が有力です。

”ちょっとまって‼学校の授業みたいなのは無理!”
というそこのあなたはこれだけ覚えてください。
「死後時間がたつと旨み成分が分解されていっちゃう」と。もうわかりましたね?

旨み成分=イノシン酸➡なくなる(分解される)⇒鮮度が悪い=おいしくない

ここまで聞いて更に疑問が沸いたそこのあなた。
私と同じで水産物の魅力にはまっていますね♪

鮮度がいい悪いは何を基準で判断するの?

...時間?温度?
いえいえ、実はしっかりとした品質の測り方が2008年の北海道立工業技術センターからのシンポジウム記録として残っておりました。それによると鮮度と深い関わりを持つ成分としてATPことアデオノシン三リン酸があげられるとのこと。学生時代生物が好きだった方にはこの「ATP」はなじみ深いものだったと思います。簡単に言うとATPは生物のエネルギーです。この生物エネルギーが鮮度の良いイカほど多く含まれており、悪いイカほどあまりふくまれていないという結果が見つかりました。
これによりATP含有量を調べることで鮮度の良し悪しを測れるようになったのです。

さてさて大きく話は脱線しましたが、今回のテーマは「呼子のイカ」です。

なぜ呼子のイカを紹介するのに長々と鮮度の話をしたかって?
それは呼子のイカは鮮度を徹底的に重視したイカであり、その旨みといったら口がとろけてしまいそうなほどの美味しさをお伝えしたいからにあります。

これから呼子のイカを説明するにあたり、
「めっちゃ鮮度がいいんだ」「鮮度がいいということはイノシン酸がたくさん含まれているのかな」「お店で出てくるイカのATPを測ったらほかのイカよりも高いんだろうな」、そんな視点で呼子のイカを見てもらえば、面白さが2倍、3倍になること間違いなしです!!
では、さっそく呼子のイカについて理解を深めていきましょう♪


<呼子のイカ刺し>

呼子のイカの鮮度について

皆さんイメージをしてみてください。

皆さんは今漁港のセリに来ています。テレビや雑誌で見たなんとなくのイメージで問題ありません。
目の前にはたくさんの魚が並んでおり、セリの声が飛び交っています。
あなたはたくさんの魚の中に発泡スチロールにはいっているイカを見つけました。


さてそのイカは生きているでしょうか?

たぶん多くの人は「No」と答えたと思います。

なぜならセリに生け簀などはなく、発泡スチロールや大きな箱に入った魚たちがならんでいるだけで生きたままセリにかける姿はあまり見たことがないかと思います。

そうです!!
イカをセリにかけるとセリの最中で死んでしまい鮮度が悪くなってしまうのです。

「いやいや、イカをセリにかけているのだから仕方がないし当たり前でしょ」と思われますよね?
ここに呼子のイカの努力が現れてきます。実は呼子のイカ漁師たちは基本セリを行いません!
どうするかというと契約している飲食店に直接イカを下ろすようにしているのです。

さらにこの飲食店の設備もすばらしいものがあります。
呼子のイカを提供するお店の多くは自然海水を24時間循環させているところがほとんどです。
イカを受け取った後も海水の生け簀にいれて調理するまで生かしておく工夫が見受けられます。

漁師さんが行う鮮度の秘密!?

ただすごいのは飲食店だけではありません。
漁に出た漁師さんたちは海面に光を照らしてイカが集まるのを待ちます。おおよそ30分したあたりからイカが集まりだし、そのタイミングで疑似餌を投入し漁を開始します。
ここまでは「あれ普通じゃない?」と思われたかもしれませんが、このあとがすごいのです。
疑似餌にイカがヒットし、海面からイカを上げた瞬間、多くの漁師さんはイカに手を触れることなく針を外し船の生け簀に落とし込むのです。
この間わずか数秒!え、この手捌きと鮮度がどう関係するかって?
いいところに気づいていただきました。
なんとイカは人の手の温度でやけどし、場合によっては死んでしまう事も、、、
ご存じだったでしょうか??

普段冷たい海域に生息しているイカにとって人の手の温度は高温なのです。さらに漁師さんのイカ保護は止まりません。獲ったイカをいれる生け簀の温度はなんと20℃ほど。これはイカが生きている海水の温度に合わせているのです。ここまでしてイカにダメージを与えることなく漁をおこなう漁師さんたちの腕前は流石の一言に尽きます。

このように漁師さんの腕前と飲食店の万全な準備、そして両名の強力なタックのもと鮮度の良いイカを提供している、これが呼子のイカの醍醐味になります。1989年に呼子大橋が完成した際に観光客が急増し、呼子イカブランドが確立した現在、本当においしいイカですので是非とも佐賀を訪れたさいには食してみてください!


<呼子大橋>

進化し続ける呼子のイカ

昨今のコロナ禍では外出自体も厳しくなってきました。
鮮度が命の呼子のイカは現地で食べるのが一番。
ただ外出ができない今、おいしい呼子のイカを気軽に食べに行くことはそう簡単なことではありません。

しかし、そんな皆さんに朗報がございます!!
なんと呼子のイカ、全国各地に宅急便で送ることが可能なんです。

「いやいや、鮮度が一番と言いましたやん。宅急便で送ったって鮮度が悪かったら意味ないじゃないですか」と思われたあなた。私も当初同じことを思いました。

呼子の方々の努力は本当に素晴らしい!!

なんと生きているイカを人口の海水と酸素と一緒に密閉し、その状態で送る体制を整えたのです。
この技術によりもともとイカは生命力が弱い生き物ですが、この梱包形態であればおおよそ24時間近くは生きていられるとのことです。今の日本の輸送技術であれば一日あればかなり遠くまで運ぶことが可能です。呼子のイカをお家で食したい方は是非試してみてはいかがでしょうか♪

いかがでしたでしょうか?
「呼子のイカ」というブランドをご存じの方は多くいらっしゃったかと思いますが、なぜ呼子のイカがおいしいのか、ここまで人気になったのかをご存じだった方は少なかったと思います。
しかし、「美味しい」の裏には並々ならぬ生産者の方々の努力が眠っているものですね。


呼子はイカ料理が豊富であることも有名です。イカシュウマイの呼子の飲食店の方がイカを有効活用して作ろうとしたのが発祥という説もあるぐらいです。またゲソの天ぷらもコリコリして最高ですよね。コロナが落ち着き、また自由に旅ができるようになれば呼子のイカを食べに行きたいものですね。

今回の記事が皆さんの食事のアクセントになれば幸いです。


<イカシュウマイ>

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