美しくて強そうなのにとてもデリケート タチウオの話

タチウオ2 とと

タチウオという魚は皆さんご存じですよね。キラキラと美しく長くてたくましい体、口には鋭くとがった歯を並べて強そうな見た目で、食べてもかなり美味しい魚ですね。

今回は実際にタチウオを飼育した経験から、タチウオの意外な事実をお話ししましょう。

タチウオの生態

タチウオの名前

タチウオは、一回聞くと忘れない特徴的な名前ですが、漢字では「太刀魚」と書きます。

平たく銀色の輝く体がその名にぴったりです。また頭を上にして立って泳ぐから「立ち魚」とも言われますが、実は頭を上にして泳ぐのは休んでいる時だけなのです。

獲物を狙う時や移動するときなどは、ほかの魚と同様に頭を横にして泳ぎます。

タチウオの食生活

タチウオは口に生え揃った鋭い歯を使って、イワシなどの小魚を襲って食べています。日中は主に深場に静かに暮らしており、暗くなった夜間になると浅場まで浮上し狩りを始めます。水深の移動幅は大きく、深いところだと水深約100~200mまで潜ることができます。

水族館では餌として主にカタクチイワシやキビナゴを使っていますが、獲物を捕る時には獲物の背後や獲物の下から襲って食べていました。

歯の切れ味はものすごく、噛みついた時には餌の小魚の体が一瞬で真っ二つになるほどです。

平たく薄い体をしているので、餌を食べた後は、お腹がかなり膨らんでいるのがすぐに分かります。

タチウオの体

タチウオの体は平たくて薄く、銀色に輝くきれいな体をしています。

実はcheckタチウオの体には鱗がないのです。

普通の魚は体に鱗があり、そのおかげで多少の傷でも致命傷にはなりません。しかしタチウオの場合、体には鱗がなくその代わりにグアニンという銀色の粉で覆われています。

一応このグアニンで体を保護しているようですが、指でなぞっただけで剥がれます。

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鱗がないタチウオは体表に傷つきやすく、そこから病気や感染症になり死んでしまうようなデリケートな魚なのです。

水族館でのタチウオ

水族館で見たことある?

水族館でタチウオを見たことある方は少ないと思います。全国の水族館を探しても、年中展示しているところは数少ないです。

理由は簡単です。とにかく弱い、長持ちしない、そもそも海から連れてくるまでが超難しいのです。

タチウオを展示するまで

タチウオを水揚げしている漁師さんの船に同上し、タチウオを集めます。

その漁師さんの漁法は延縄(はえなわ)漁法と言って、1本のロープに複数の釣り糸と餌を付けた針を取り付けて海に仕掛けておく方法です。

定置網などで一気に大量のタチウオを捕る方法もありますが、網で体がすれて傷ついたタチウオの生存率がかなり低いという実績があるため、網ではなく体がなるべく何にも触れない釣り針を使った方法にします。

釣り針で傷ついた口は、大抵治ることが多いのでなおさらです。

さて仕掛けに食いつき釣り上げられたタチウオをゆっくり引き上げ、体に直接触らないように、丁寧に針を外し船上の水槽に入れます。

実はここが一番気を使わないといけないところです。とにかく体に触らないこと、終始これを守ります。

集まったタチウオを船から移動用のトラックの水槽に移して、水族館に持ち帰ります。道中は水槽の中に薬品を入れ、体や口などの傷の消毒をします。

水族館に到着したタチウオを、直接触らないように捕まえて水族館の予備の大きな水槽に移します。

水槽では体の消毒と水槽の壁などに衝突しないように、壁にシートを張ったり泡のカーテンを作ったり工夫をします。

後は餌を食べてくれるまで、タチウオと根競べです。解凍したキビナゴを与えたり、それに興味を示さなければ生きたままのカタクチイワシを与えたりして刺激してあげます。

そしてある程度水槽に慣れ、餌を食べるようになって体力をつけたタチウオを、再び丁寧に展示用の水槽に移します。

これでついに皆さんに見ていただけるようになるのです。簡単に書きましたがかなり気を使いますし、他の魚に比べて展示するまで苦労する魚です。

ヘルシー魚 タチウオ

タチウオは平たい見た目から想像できませんが、check脂肪をたっぷり含んだ高エネルギーの魚です。

また、脂肪酸を多く含むので生活習慣病の予防や、血中の中性脂肪や悪玉コレステロールを減らす効果もあります。

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他にもビタミンA・D・Eが多く、特に歯や骨を丈夫にするカルシウムやリンの吸収を助けるビタミンDを多く含みます。

生でも焼いても似ても骨ごと揚げても美味しいタチウオ。釣り人にも人気ですよね。

美しくておいしいタチウオを釣り上げたり、お店で見つけたり水族館で見た時には、この記事のことを思い出してみてください。

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