「魚籠~とある魚屋からの脱出~」開発後記 Part.3

スマホゲーム ととや日記

【序文】

当記事をご覧くださりありがとうございます、脱出ゲーム「魚籠~とある魚屋からの脱出~」の開発全般を担当させていただきました羽稲まをと申します。


こちらの記事は「魚籠~とある魚屋からの脱出~」開発後記 Part.2 の続きとなっております。


前回、前々回の記事をまだご覧になっていないという方は、Part.1~2を読んだ後にこちらを読んでいただけると、より一層楽しんでもらえると思いますので、是非Part.1~2も併せてご覧ください!

今回はお仕事としてゲームを制作するに至っての工程についてを羽稲の過去の経験等と照らし合わせつつ、実際はどういう風に行っていったのかを2つの項目に分けて、お話しさせていただきます。


色々な予備知識が功を奏したり、から回ったり、自身の考えに振り回されることになってしまう羽稲の様子を描く第3回、是非お楽しみください。

では、「魚籠~とある魚屋からの脱出~」開発後記 Part.3 本編に入ります、どうぞ!

【企画書、仕様書作成 そしてプレゼンへ…】

さて、なんとか今回の制作に起用するゲームのジャンルも決まり、これから「ゲーム制作開始!!」と洒落込みたいところですがまだそういうわけにもいきません。


ゲームもその他の会社さんで行うプロジェクトと同じく、まずは企画の立案を行い、次に企画書の作成、そしてプレゼンを行い企画が通れば制作に関する仕様書の作成という風に進めていき、それからようやくゲーム本体の制作に取り掛かれるという感じになっています。


ですが、前の項目で述べた通りもう企画の立案とゲーム開発プロジェクトの決定はありがたいことに既に決定しています。

「おいおい、じゃあ後は仕様書作るだけでゲームの制作に移れるじゃん!」と思った方、私と一緒で
詰めが甘いです(笑)

では、なんでこのまま順当に進めていけないのかというと、それこそが今回私を再び悩ませることになる”開発決定の順序不同”にあります。


先ほど述べた通り、ゲーム開発におけるプロジェクトの立ち上がりは

①企画→②企画書作成→③プレゼン→④開発決定→④制作に用いる仕様書の作成

というのが一般的です。


しかし、今回は

ゲーム④開発決定→①企画→②企画書作成→⑤簡易的な仕様書作成→③プレゼン

というはちゃめちゃな順序になっていました(笑)


なぜこのようなひっちゃかめっちゃかな順序になってしまったのか?実はそれにもちゃんと訳があります。


今回の制作は以前の項目でもお話したとおり、最初から制作が決定している状態でのスタートであり、なおかつ私以外のお二方のゲームに対しての認識が深くなく、ゲーム開発も未経験であったことから、先にある程度ゲーム自体の仕様に対しての説明も必要であると判断した結果、こういった稀に見ぬ順序になってしまったということです。

まあ、そんなこんなで試行錯誤しながらも企画書作成に踏み出した羽稲ですが、ここでまた今回の“開発決定の順序不同”による問題にぶち当たります。


そもそも企画書というものは、

「私にはこういうアイデアがあります!そしてこれにはこうこうこういう理由があって具体的にはこういう目的があります!」

っていうような感じで、「これやりたい、作りたいので協力してください!」ってことをプレゼンでより分かりやすく伝える為のツールなんだと思うんですよね。


しかし、今回は鼻から「これやっていいよ!じゃあ、次はこれの内容考えておいてね!」って感じから始まっているので、企画書は企画書でも通常の企画書とはアピールしたいこと、しなきゃいけないことが全然違うものになってきてしまいます。


さて困った…、これでは通常通りに企画書を作るわけにもいかないし、かといって”脱出ゲーム”だけの内容の企画書を作って持って行ってもゲーム制作自体は決まっているわけだから、イマイチ盛り上がりに欠けてしまう…。


そこで羽稲は閃きました!

“脱出ゲーム”を思いつくまでに考えた「それって別に魚じゃなくても良くない?」と企画の時点でボツにしてしまったゲームをあえて企画書に盛り込めば、より今作に“脱出ゲーム”を起用する意味が伝わりやすいのではないか!?と。


水を得た魚の如く私は早速ボツにしたアイデアから「このゲームが選ばれたとしてもまだいいかな」と思えるものを数点洗い出し、ブラッシュアップを行い結果的に”脱出ゲーム”を含めた3点を制作候補とした企画書とブラッシュアップしたものを参考に簡易的な仕様書を作成し、いざプレゼンの舞台へ挑みました。

元々あがり症な上に久々のプレゼンにガチガチに緊張し、自分用の資料を忘れるというポンコツを初手からかましつつも、今回の策とサポートをしてくださった担当者さんのおかげでなんとか好印象を持っていただくことができ、こうして無事正式に“脱出ゲーム”の制作が決定し、結果的にプレゼンは大成功で幕を閉じるのでした。

【制作の工程について】

「企画者ならゲーム制作のメカニズムを一番に理解しろ」専門学生の頃、先生によく言われた言葉です。


私は当時、ゲーム企画を担当するゲームデザイナーと呼ばれる職を目指していました。そしてゲームデザイナーは将来的にはディレクターへと昇格していくというのが一番王道な感じのクラスアップとされています。


そのためか、ゲームデザイナーは企画の勉強と同時にチーム制作ではプロジェクトリーダーとしての仕事も同時に行うことが多くありました。


そんなこともあり、制作チームでの他の担当であるプログラムやグラフィックデザインについても人並以上には知識を叩き込まれていたので、意外と単独でもゲームを作れるほどのノウハウを有していたため、今回自分の力を試す意味も含めて一人での制作に挑ませていただきました。


自身の経験上、小規模チームで行うゲーム制作の流れとしては、

企画→チーム内での共有→プロトタイプの作成→チーム内での仕様の認識に差異がないかの確認→α版の作成→確認と試遊→β版の作成→確認と公開試遊→βテストのフィードバックを基に最終調整→リリース

というような感じで、その水面下で並行してデバッグ(バグ探しのようなもの)を行いながら制作します。


その中で一番苦労するのがプログラマーとグラフィックデザイナーの認識の相違です。

色々な要因があるのですが、大体片方がずれると途端に今まで問題なく動いていたものが情け容赦なく動かなくなったり、謎のバグが発生します。


その上、互いが互いの作業の知識を持ち合わせていないことが多く、前述したとおり企画者が仲裁に入り原因を探ることになり、ストレスがマッハでお腹をキリキリ鳴らすことになります(汗)

ですが今回の制作ではそれがありません!途中で仕様変更しても臨機応変に立ち回れるし、ストレスでトイレとお友達になることもなくなります。


と、そう上手いことばかりともいってはくれないもので、やはりというか残当というか人手が足りずグラフィックは数々の神フリー素材サイト様方に頼る結果になりました。


素材提供元様に感謝しつつ、自分の考えの甘さに反省したいと思います…。

【次回予告】

いかがでしたでしょうか?今回は少しまじめに企画の話や、ゲーム制作を行う上での流れについてを実体験と今回の経験を交えつつ2つの項目に分けて、お話しさせていただきました!


次回はとうとうゲーム開発後記最終回!!今回の制作を振り返りつつ、羽稲が今後やっていきたいことについても少しお話させていただけたらなと思います。

今回もここまで読んでくださってありがとうございます、次の記事もぜひ見てくださると嬉しいです!
ではまた次回お会いしましょう~!

profile 羽稲 まを (はいね まを) 

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フリーゲームデザイナー

専門学校時代、ゲームデザイナーを志すも周りに絵を描ける人材がいなかったため
独学でイラストを勉強、絵も描けるゲームデザイナーとして重宝された。


道半ばで「自分、デザイン関連の方が向いてるのでは?」と、ウェブデザイナーを志し
またも独学で「ウェブデザイン技能士」を会得するも、大事故に遭い九死に一生を得る。


現在はフリーゲームデザイナーとして活動中、お仕事ください!!

Twitter:hainemawo400

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