海老の色って何色ですか?海老の色についての話

ヌマエビ とと

早速ですが、皆さんに質問です。海老の色は何色ですか?

え、そんな当たり前の質問するんじゃないよ、と思われるかもしれません。しかしひとえに海老の色といっても色々あるのです。

おそらく多くの人が応えるのは「赤色」だと思います。ほかの色もあるの?と思われた方は普段海老に出会う機会は主に食事の時の方だとお見受けします。

しかしプラネタリウムを作られている方はどうでしょうか。「茶色」や「青色」、はたまた「透明」ともお答えになるかと思います。また海老の業者はホワイト海老やブラックタイガーのイメージから「白色」や「黒色」と答える方もいらっしゃいます。

一言で海老といっても、様々な色のイメージを我々は持っています。

しかしどうしてそんなにも色が違うのでしょうか。今回は海老の色にについて深堀をしていきましょう。

海老の色は変幻自在?忍者ミナミヌマエビ

皆さんは「ミナミヌマエビ」という海老をご存じでしょうか。

最近では、知っている!という方が徐々に増えてきている海老だと感じており、名前は知らなくても実際に触れたことはあるかもしれません。

ミナミヌマエビは体調20~30mmほどの海老で、ブツエビ、タエビなどとも呼ばれ、釣りの生餌に使われたりしています

またアクアリウムの観賞用や水槽内の水垢や藻を食べて掃除をおこなうタンクメイトとして飼われたりしています。このように釣り用やアクアリウムなど結構身近に生息している海老です。

ではこの海老の色はご存じでしょうか。

答えは「周りの色によって変化する」です。

え、そんなことある?と思われたかもしれませんので、百聞は一見に如かず、下の画像をご確認ください。


【半透明なミナミヌマエビ】

【赤色のミナミヌマエビ】

二匹ともミナミヌマエビですが、片方は透明でもう片方は赤色です。

これは主にcheck背景色と食べたものによって海老の色素が変化を起こしているのが原因です。

アクアリウムで小型の海老を飼ったことがある人なら水槽の中で海老を見失うことはよくあるのではないでしょうか。透明や赤色のほかにも、土を入れている水槽では茶色になったり、青色のビーダマを入れた水槽では青水色になったりしてうまく保護色に変化しています。

お時間があれば水族館で小型の海老の水槽をご覧になってみてください。最初は数匹しか見えなかった海老がよくよく見るとたくさんいる!ということも稀ではありません。

これは海老が生き残るために進化した力といってもいいかもしれませんね。

色によって名前が付けられた?世界の食用海老たち

先ほどまでは観賞用や餌用のミナミヌマエビについて言及してきましたが、食用の海老はどうでしょうか。

まずは知っている限りで構いませんので色の名前がついている海老を思い出してみてください。ヒントはカタカナ表記が多いです。

有名どころではスーパーでよく見かけるブラックタイガーですね。アカエビもよく聞くと思います。他にもメキシコ近海に多く生息するブラウン海老やミャンマーやインドネシア近海に生息するホワイト海老などが存在します。

なぜこのように海老に色の名前がついているのでしょうか。これには諸説ありますが、見た目の色で名付けられたというのが有力であると考えられます。

たしかにブラックタイガーは読んで字のごとく黒の縞々模様が特徴的な海老です。またブラウン海老は全体的に茶色がかっていますし、ホワイト海老は白い部分が強い印象があります。

ではなぜこのように色が違うのでしょうか。

原因の一つとして土壌の色が関与していると言われています。

例えばメキシコ近海では茶色の土が多く、ブラウン海老の保護色が茶色であるという説があります。また高級品として有名な伊勢海老は岩場で生息していることが多く、岩と同化するような赤黒い色をしているともいわれています。

このように食用の海老もミナミヌマエビと同様、周囲の色と同調して保護色に変化してきたという特徴が見受けられます。

【トレーに並べたブラックタイガー】

海老を加熱したら赤くなるのはなぜ?

冒頭に海老の色を想像していただいた際、「赤色」を連想された方が多くいらっしゃると思います。その感覚は間違っておらず、料理として出てくる海老はほとんどが赤色をしています。ではなぜ海老は赤色になるのでしょうか。

それにはアスタキサンチンという物質が絡んできます。水産物に詳しくない方でも名前を知っている人は増えているのではないでしょうか。特に最近は保水効果やエイジングケアとして化粧品関係によく使われています。

check

海老にはこのアスタキサンチンが多く含んでいます。そしてアスタキサンチンは熱を加えることで赤色に変化するため、海老を加熱すると赤色になるのです。

また海老の部位によってアスタキサンチンが含まれる量は異なり、身よりも殻に多く含まれています。そのため加熱した際に、殻付き海老のほうがムキエビよりも赤身が強くなる傾向にあります。

具体例としてはガーリックシュリンプや塩焼きがわかりやすいかもしれません。逆に身部分にはあまりアスタキサンチンが含まれておらず、保水された海老は更に薄まるため加熱してもあまり赤くならないのが特徴的です。

このアスタキサンチンは海老だけでなく蟹にも多く含まれており、カニ鍋や焼きカニを思い浮かべていただければわかりやすいかと思います。

さらにcheck鮭の赤身もアスタキサンチンが影響しているのをご存じでしょうか。鮭は餌として海老や蟹を食べて成長します。その際に摂取したアスタキサンチンが身に沈着し赤色になっていると言われています。

また産卵期のシロザケのメスでは体内のアスタキサンチンが卵へ移動し身が淡白になる現象も報告されています。このようにアスタキサンチンは多くの生物に含まれており、これが原因で海老は赤色になるのです。

海老をモチーフにした色がある?染色「海老色」とは

赤の印象が強い海老ですが、海老の名前が付けられた色があることをご存じでしょうか。

その色の名前は「海老色」といい、伊勢海老の殻のような深く渋い赤色をしています。

もともとは「えび色」は平安時代ごろまで「葡萄(えび)色」として呼ばれており、これは山葡萄で染色された赤紫色のことを指していました。山葡萄をえびと呼称するのは葡萄蔓(えびかずら)の古名が由来していると言われています。

check

ただ近年になり「えび色」の連想が山葡萄から伊勢海老の赤を想起するようになり、「海老色」となったと考えられています。江戸時代になると、茶色の流行から海老茶と呼ばれるようになり、明治以降には女子大生の袴の色に使われ流行していました。

いかがでしたでしょうか。

一言で色といっても様々な色を持つ海老たち。普段何気なく見ている海老ですが、海老の色に着目するだけでもいろいろなことが想像できて面白いですね。

スーパーで海老を買うときに今回のことをふと思い出してみてください。あ、この海老が住んでいた土壌はこんな色なのかな、もともと赤い海老もいるんだ、など海老たちがやってきた背景を感じることができるかもしれません。

何気なく食べるのではなく、理解を深めて海老の命を頂くことでより美味しく、そして大切に食することができると思います。皆さんの食卓が満ち足りることを祈っています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました