クルマエビの特徴
「北海道の南部」よりも南の各地の内湾に分布しています。他にも東南アジア~インド洋沿岸の各地にいます。
夏~秋頃から産卵期。
1年程度で成熟し、産卵後に死ぬ個体がほとんどです。
体長は20センチくらいですが、30センチ前後になる個体も存在します。
漁獲方法のメインは底引き網漁ですが、養殖も色々な場所で行われていますし、放流による資源の維持もされています。
主な産地は熊本県、福岡県、愛知県、大分県、愛媛県ですが、1994年からの10年間で漁獲量が3分の1程度にまで下がっています。
ですが養殖による収穫量は1994年からの10年間で、同じかやや上がっているくらいです。
特に養殖が盛んなのは熊本県、鹿児島県、沖縄県など。
クルマエビの美味しい食べ方
クルマエビの旬は初夏~秋頃です。
大きなクルマエビは天ぷらにする場合が多いですが、焼き物も人気です。
ちなみに体長が5センチ以内のものは「サイマキ」、10センチ以内のものは「マキ」と呼ばれ、フライ、煮物、踊り食い、刺身として食すのが普通。
もちろん高級な寿司種(茹で、もしくは生)としても知られています。
ウシエビの特徴
よく「ブラックタイガー」と言われますが、正式な標準和名は「ウシエビ」です。
クルマエビ類の中では一番大きく、体長が30センチを超えます。
東京湾~アジア、インド洋、オーストラリアなどに生息しています。
台湾~東南アジア、インド洋沿岸諸国では養殖も積極的に行われています。
利用方法はクルマエビとほぼ一緒です。
身体全体が黒っぽいですが、熱を加えると綺麗な赤色になります。
また大きなクルマエビの場合、生きた状態でも少し赤くなります。
イセエビの特徴
茨城県~九州までの太平洋沿岸、台湾、琉球列島、朝鮮半島南岸などに生息しています。
浅い海の岩礁の岩陰で暮らしており、群れをなします。
6~8月頃が産卵期。
体長は35センチ程度。
夜行性であることを利用して、夕方頃に底刺し網を仕掛けて、次の朝に回収することで漁獲します。和歌山県、静岡県、三重県、千葉県などでの漁獲量が多いです。
先ほど紹介したクルマエビと並んで、日本における知名度が高く親しまれているエビですし、水産上における重要性も高いです。
ちなみにクルマエビ類は泳ぐことが得意ですが、イセエビ類は歩くことが得意。
イセエビの美味しい食べ方
イセエビはその造形的に縁起が良いとされ、大昔から祝い事において重宝されてきました。
もちろん味もよく、刺身、具足煮、鬼殻焼、クリーム煮、蒸し物などが特に人気です。
具足煮(ぐそくに):殻を取らずにブツ切りにしてから煮る
鬼殻焼(おにがらやき):タテに二つに割ってから焼く
ホッコクアカエビの特徴
ホッコクアカエビは一般的に「甘エビ」と呼ばれています。
日本海、オホーツク海、北海道~太平洋岸からベーリング海、カナダ西岸、アラスカ湾などに生息しています。水深1000メートルくらいのところにまでいます。
頭部の長さは1歳で1センチ、5歳で2.4センチ、11歳で3.2センチほどにまで成長します。
オスは2~4歳で成熟して、メスとの交尾を行います。
交尾を終えたオスは、全てメスへと性転換します。
11歳ほどで命を落とします。
3~4月頃が産卵期。
漁獲方法のメインは、けた網、エビかごなどです。
ホッコクアカエビの美味しい食べ方
ホッコクアカエビは晩秋~冬頃が旬です。
「甘エビ」として寿司や刺身として食べるのが普通です。
ホンホッコクアカエビの特徴
北部北大西洋に生息しています。
こちらも「甘エビ」としてアイスランド、カナダ、ノルウェー、グリーンランドなどから輸入されています。
以前は北部北大西洋のホッコクアカエビと区別されていなかったのですが、最近では、「ホッコクアカエビ」「ホンホッコクアカエビ」で、別の種とみなすのが普通になっています。
利用方法はホッコクアカエビと同じです。
ホッコクアカエビとホンホッコクアカエビは見た目もよく似ています。
しかしホッコクアカエビは腹部が黒く、ホンホッコクアカエビは黒くありません(全体的に紅色)ですから、区別するのは難しくありません。
トヤマエビの特徴
富山湾で多く漁獲されることから「トヤマエビ」という名称になったのですが、一般的には「ボタンエビ」として親しまれています。
福井県よりも北の日本海、北海道、ベーリング海、オホーツク海などに生息。
水深100~400メートルほどのところで暮らしています。
産卵期は4~9月頃(北海道沖の日本海側の場合)。
成長するにつれて性転換します(オス→メス)。
8年ほどで命を落とします。
体長17センチ程度の個体が多いですが、20センチを超えるものも存在します。
漁獲方法のメインはエビかごです。
トヤマエビの美味しい食べ方
トヤマエビの旬は冬です。
寿司、刺身、塩焼き、天ぷらなどが人気。
茹でると甘みがほとんど消えますから、家庭で扱う場合は注意が必要です。
サクラエビの特徴
体長わずか4センチ程度の浮遊性のエビです。
左右に押し潰されたような形をしています。
相模湾、東京湾、駿河湾、台湾東方沖などに生息しています。
日中は水深200~300メートルほどの位置で群れを作っていますが、夜間は水深20~50メートル程度にまで浮き上がってきます。
1年で4センチほどにまで成長して産卵をします。
5月20日~11月10日頃までが産卵期ですが、特に盛んなのは7~8月です。
産卵してからしばらくすると命を落としますので、寿命は15~16か月程度。
主に駿河湾で漁獲されており、夜に浮き上がってきたサクラエビを引き網で漁獲しています。春と秋、年に2回漁獲のピークが訪れます。
ちなみにサクラエビは161個の「発光器」と、赤色の色素胞を有しています。
その上でもともと身体が透明に近いですから、全体的に美しい桜色なのです。
サクラエビの美味しい食べ方
一般的に出回っているのは、干しエビ(煮干し、素干しなど)の状態のサクラエビであり、調理方法はかなり幅広いです。例えば、かき揚げなど。
また、地元では生食(刺身)のサクラエビも人気ですし、釜揚げ(茹でてから揚げる)にすることもあります。そして、生の状態で鍋の具材(通称:沖あがり)にすることも。
ちなみに、冷凍保存状態のサクラエビも流通していますから、地元民以外でも生に近い感覚でサクラエビを食することは可能です。
補足:各エビの分類
クルマエビ科:ウシエビ、クルマエビ
イセエビ科:イセエビ
タラバエビ科:トヤマエビ、ホッコクアカエビ、ホンホッコクアカエビ
サクラエビ科:サクラエビ
本文で紹介した各エビの分類は上記の通りです。
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