本当に同じ種類? タテジマキンチャクダイ親子

タテジマキンチャクダイ ととナビ

海の中で暮らす魚たちの中には、カラフルで色鮮やかな種類がたくさんいます。
特にサンゴ礁が広がる暖かい海に多く見られます。
サンゴ礁で暮らすタテジマキンチャクダイという魚もとてもカラフルできれいな体色をしています。
ただこのタテジマキンチャクダイの体色は成魚と幼魚で全然ちがうのです。

今回は本当に同じ種類なのか!?と疑ってしまうくらい見た目が異なる
タテジマキンチャクダイのお話をしたいと思います!

タテジマキンチャクダイ 略してタテキン

タテジマキンチャクダイの“タテジマ”とは体の縞模様が縦方向にあるから

ただこの魚を見ても縞模様は頭から尾にかけて横向きに走っていますので、横縞ではないかと思いがちです。しかし魚の縦・横縞の見方は人間と同じように頭を上、足(尾)を下にして見ます
ということは、頭から尾にかけて入る縞模様は縦背びれからお腹にかけて入る縞は横縞となるのです。

名前にタテジマやヨコシマと入る魚はこの法則に従って名付けているので、
他の魚も確認してみてください。

どこで見られる?

タテジマキンチャクダイは伊豆諸島以南の西部太平洋、中部太平洋、グレートバリアリーフ、中~西部インド洋、紅海などの暖かい海で生活しています。数はそんなに多くなく、その上群れは作らず単独で縄張りを作る魚なので世界中のダイバーは見つけるとテンションが上がる魚の一種です。

音を出す魚

タテジマキンチャクダイは大きくなると30㎝を超えます。大型個体は縄張り意識も強く縄張りに他の魚やダイバーが侵入すると、口腔内を振動させて「グオグオ」という威嚇音を出すことがあります。

縄張りにペアとなる相手以外のタテジマキンチャクダイが侵入すると、この音を出しながら攻撃をしかけ縄張りから追い出そうとします。

タテジマキンチャクダイの幼魚

黄色の頭部に黒い胸部、体側は青いラインが入るというカラフルな模様と体色をしています。

2~3㎝くらいの時は、黒をベースに白と青の渦巻き模様,
5~10㎝ほどになると濃い青をベースに白と青の渦巻き模様に尾の方は斑点模様まであります。

なぜここまで成魚と幼魚の色と模様が異なるのでしょうか?

実は相手が魚という事もあり、はっきりとはわかっていませんが考えられていることがいくつかあります。

理由その1:縄張り意識が強い成魚の縄張り争いに巻き込まれないようにするため。

パートナー以外の同種を侵入者としてみなす本種ですが、成魚と見た目が異なることでむやみに攻撃されないようにしているようです。

理由その2:渦巻き模様の中心が尾側にあり、それを目玉模様に擬態させている。

本種と同じサンゴ礁域に棲む魚には、背中や尾のそばに何かしらの目玉模様がある種類がいます。目のある場所はもちろん頭があります。敵は頭を狙って襲ってくることが多いので、その目の位置を急所となる頭から遠ざけることによって致命傷はさけるという身の守り方をします。

理由その3:縞模様や渦巻き模様はサンゴに身を隠しやすい

一見派手に見える模様でもサンゴの種類によっては身を隠しやすい模様となります。本種の幼魚の模様の場合、ヤギ類やトサカ類などのサンゴの仲間の形に似ているので、そのサンゴに擬態することができると考えられています。

水族館ではエサ取り名人

タテジマキンチャクダイは人気のある魚で、水族館でもよく見られます。
水族館に来たばかりの時は、元々警戒心が強い魚でもあり餌を食べる時も遠慮しがちです。しかし、徐々に水槽やエサにも慣れてくると、同じ水槽に入っている魚たちよりも素早く、そしてたくさんのエサを食べてしまいます。ですので餌の与え方には工夫をしています。
その割には水槽に入って掃除をしている時にはダイバーから見えない、サンゴや岩の陰などに隠れてじっとしています。これは幼魚も成魚も関係ないようで、性格や習性までは模様のように異ならないようです。

幼魚と成魚の見た目が違う魚

タテジマキンチャクダイの他にも幼魚と成魚で見た目が違う魚がたくさん存在します。
タテジマキンチャクダイが属するキンチャクダイ科の魚の多くは成長するにつれて模様が変わっていきます。ここで幼魚と成魚で見た目が異なる代表種を紹介します。

サザナミヤッコ幼魚はタテジマキンチャクダイに似ています。
キンチャクダイサンゴ礁だけではなく日本に広く分布するかなり身近な魚です。
セダカヤッコ幼魚はサザナミヤッコにかなり似ています。
クロスズメダイキンチャクダイ科ではなくスズメダイの仲間です。
幼魚の時は、黄色や水色などかなりカラフルで綺麗ですが、
成魚になると名前の通り真っ黒になります。

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