早速皆さんに質問ですが、サーモンこと鮭はお好きですか?
これは愚問かもしれませんね。古くから日本人に愛されてきた鮭であり、最近ではお寿司のサーモンが女性を中心に人気を博しています。
では皆さんはどのように鮭を召し上がるのが好きですか?
朝食の定番鮭の塩焼きは最高ですね。カリッと焼き上げた鮭をご飯と一緒に頬張り、そして味噌汁を一杯、と想像したらたまらないですね。
また焼いた鮭をほぐしてご飯に混ぜておにぎりにした鮭おにぎりもおにぎりの定番ですね。コンビニにいったら必ずと言っていいほど置いてあります。
また洋風では鮭のムニエルもおいしいですよね。サクッとしたパン粉にまぶしてバジルと一緒にオリーブオイルで炒めたらメインディッシュの出来上がりです。
寒い時期になってくると北海道の郷土料理で有名なちゃんちゃん焼きもいいですね。野菜と一緒に焼いて味噌で味付けすれば心も体も温まるちゃんちゃん焼きの完成です。
このように本当に多くのレシピがあり、また多くの人に愛されている魚が鮭です。
しかしあることに気づきませんか。上記で上げた料理は結構古くから日本人になじんでおり、checkほとんどが火を通すメニューです。
昭和生まれの方は子供のころに親からこんなことを言われたことはないでしょうか。「鮭は生で食べるものではない。寄生虫がいるからお刺身で食べちゃだめだよ」と。
そうです、鮭にはアニサキスという寄生虫がいます。しかし冒頭で述べたように今世の中では鮭を生でお寿司として食べられています。
ではどうして今は生で食べられるのでしょうか。不思議に思いませんか?
今回はみんな大好きサーモンの謎に迫っていきましょう。
サーモンに住み着く寄生虫!アニサキス
サーモンの話をする前に恐ろしき寄生虫アニサキスについてお話ししなければなりません。
皆さんに「アニサキスについて話を聞いたことはありますか?」と質問すると意外と多くの人が「聞いたことがある」とお答えになるかと思います。
しかし「アニサキスに寄生されたらどうなるか」とお伺いしたら正確に答えることができる人は少ないのかもしれません。
アニサキスは寄生虫の一種で、約15ミリの白い糸状の体を持ちます。この寄生虫はオキアミというプランクトンの一種を食した魚介類を介してcheckヒトに寄生します。
人に寄生したアニサキスは消化器で悪さを働きます。とくに有名なのはアニサキスが胃の壁に突き刺さることで発症する胃アニサキス症です。
症状としては、経口感染後3~4時間後に上腹部痛、吐き気、嘔吐などの症状が現れます。これらの症状は胃の壁にアニサキスが突き刺さったことによる直接の痛みではなく、実は胃壁とアニサキスに対するアレルギー反応だと分かってきました。
治療法は根本原因を取り払うアニサキスの除去です。内視鏡をつかって直接除去してもらうのが一般的ですが、薬で症状を押させることも可能なようです。
胃のほかには腸にも規制することがあり、軽い腹痛を伴うケースから、激痛、腸閉塞に至るケースなどさまざまです。
またアニサキスはヒトの体内に入ると約1週間で死んでしまいますので、全くの無症状で済むこともあります。
ちなみにアニサキスは「60度以上での1分以上の加熱」「マイナス20度以下での24時間以上の冷凍」によって死滅します。
最近では鮮度の良い状態での漁場から市場への冷蔵輸送技術が向上した分、アニサキスは増えているという声もあがっています。鮮度がよいほどアニサキスがついてくるというジレンマは悲しいですね。
ただ食事ごとに腹痛のリスクを意識していてはおいしい食事もままなりませんね。
打倒アニサキス!サーモン養殖にかけた想い
アニサキスの怖さと大変さは皆さんには理解していただいたと思います。では話を戻して、なぜアニサキスが存在する鮭を今では生で食べることができるのでしょうか。
勘の鋭い方はお気づきかもしれません。そうです、アニサキスがまったくいない鮭を食べればよいのです。
そんなことができるのかと不思議に感じられたのではないでしょうか。ヒントは先ほどのアニサキスの説明の中にあります。
見つけましたか?答えは鮭がアニサキスをもつ理由にあります。
鮭がアニサキスを有するにはcheckオキアミといわれるプランクトンを食べることが原因です。そもそもはオキアミにアニサキスが生息しており、それを鮭が食べることで鮭にもアニサキスが生息するようになります。
そこで養殖業者の方は考えました。餌にオキアミをいれなければアニサキスが感染しないのではないか、と。
そこでエサをオキアミから人工のドライペレットにかえ、鮭のアニサキス感染を徹底的に防止しました。
結果、今では養殖サーモンのほとんどはアニサキスを有しておらず、生で食べることができます。
代表例としてはアトランティックサーモンやサーモントラウト、日本では養殖の銀鮭もこれらに含まれます。
反対に天然に生息している鮭である秋鮭・時鮭・白鮭・紅鮭や鮭に近しい仲間であるニジマス、イワナ、ヤマメなどはアニサキスを有している可能性が非常に高いため、生で食べることはお勧めしません。
サーモン養殖の聖地、ノルウェー
養殖技術の向上に伴い私たちはおいしいサーモンのお刺身やお寿司を食べることができるようになりました。
そんなサーモンたちがどのような場所で養殖されて日本まで届いているのか気になりませんか。今回はアトランティックサーモンを例にご紹介したいと思います。
サーモンの養殖量は全世界で約240万トン養殖(2017年国連食糧農業機関より)されており、その半分の約130万トンはノルウェーで養殖されています。第2位のチリが約90万トンなので約1.5倍ですね。
そしてcheckノルウェーで生産されるノルウェーサーモンこそアトランティックサーモンであり、養殖量は断トツです。
アトランティックサーモンの歴史をたどっていくと、1959年にデンマークの淡水養殖場からの紹介で、トラウト(ニジマス)の養殖を始めたことがスタート地点のようです。
トラウトが海水でも順応することに気づいたことから、海面での養殖は始まりました。そのトラウトの養殖の応用により、1970年にヒトラ島にアトランティックサーモンの養殖場が造られたのです。
そこから現在のアトランティックサーモン主体の養殖へと向かっていくこととなります。そして1985年に初めて生食消費され、今では世界約100ヶ国に届けられるまでに産業が成長しています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
普段何気なく食べているサーモンですが、生食ができるようになったのはここ最近の話であり、養殖技術の向上のおかげだったというわけです。
そう考えるとふとサーモンのお刺身を見たとき「あーこのサーモンは徹底的に管理された箱入り娘だったんだなー」と想像すると面白いですよね。
日々進化している養殖技術、もしかしたら今のタブーが未来の常識になっているかもしれませんね。
皆様の食卓に知識のスパイスがかかれば幸いです。
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