いかは胴や下足が食べられるのはもちろん、墨や肝、口までおいしく食べられます。捨てるところがないのです。
いかの墨
スペインを代表するパエリアは、バレンシア地方の郷土料理。さまざまな具材と米を合わせて、炊いたものです。 いかの墨はパスタやパエリアに用いられますが、たこの墨は料理に用いられません。どうしてでしょうか?
いかも、たこも、敵から身を守るために墨を吐きますが、目的が違います。たこの墨は水中で広がって、敵へのめくらましになるのに対し、いかの墨は自身の分身。粘度が高く、まとまりがあるため、敵は墨をいかだと勘違いするのだそうです。そのため、いか墨は敵に勘違いさせるぐらい、おいしくないといけません。いかの墨に多く含まれるアミノ酸は、うまみの素です。
おいしいだけでなく、栄養も満点。アスパラギン酸やグルタミン酸は、筋肉にエネルギーを供給する際に必須。疲労した筋肉の回復を促す働きがあります。アルギニンは、脳下垂体を刺激して成長ホルモンの分泌を促します。また、一酸化窒素を生成して、血流量を増やす効果もあります。
いかすみは成長期の子供にも、大人の美容にも、高齢者の介護予防にも… 幅広い年代の成長や老化予防に役立つ食材なのです。
いかの肝
いかの塩辛は、日本の郷土料理です。いかと肝を塩漬けして、熟成させることで、独特の風味と濃厚な旨みが生み出されます。これは、いかの肝臓に含まれる酵素による発酵です。
いかの肝には、DHAやEPAが多く含まれています。いずれも体内で合成できないため、食べ物から摂取する必要がある脂肪酸です。DHAは脳神経系の発達に、EPAはサラサラ血液に関わります。
ただし、いかの塩辛は食べすぎると塩分過多になるので注意しましょう。
いかの口
干したとんびを串に刺し、炙って食べるとんび串。いかの口は、腕の付け根部分にあります。弾力があり、噛めばかむほどうまみがでてきます。
筋肉の材料となるタウリンと、筋たんぱく合成を促す亜鉛は、筋力の向上に役立ちます。ボディーメイク中のおやつにもおすすめです。
このほか、いかの皮にもコラーゲンが豊富。おいしく全部食べることは、フードロスだけでなく、私たちの健康にもつながっていきます。
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