ウミガメを飼育している場所といえば、まず水族館が思い浮かびますよね。専門的な施設でしか飼育されてないことから、飼育するのはとても難しそうなイメージがあるのではないでしょうか?
でも本当に飼育が難しいかといえば、そういうわけでもないんですよ。ただし、だからと言ってcheck一般家庭で子ウミガメを持って帰って飼育するということは「違法」になってしまうため厳禁です。
この記事では、家庭でウミガメが飼えない理由や、ウミガメの飼育方法についてお話しますね!
なぜ家庭でウミガメの飼育はできないのか。
家庭で鑑賞目的としてウミガメを飼育することはできません。なぜかというと、ウミガメは生息個体数が少ないため、水産資源保護法、種の保存法、ワシントン条約など様々な条約で規制されており、特別な理由がない限り捕まえること自体禁止されているからです。
捕獲の許可が出る理由としては、研究のため、規制以前から食用など伝統として利用している、ケガなどで保護する必要がある、といった理由が挙げられます。
食用での利用にしても、年間で捕獲してもよい頭数が決められていたりとしっかり管理された上での許可となります。
また、ケガでの保護の場合も、水族館や研究機関などしかるべき施設に預けられることとなるため、一般家庭での飼育はそもそも許可が出ないでしょう。
さらにいうと、もし許可が出たと仮定しても、体長1~1.5m・体重200~300㎏もの大きさになるウミガメの飼育に十分な広さと深さのプールが必要になる上、60年近く生きるといわれているウミガメを個人でお世話するということは難しいですよね。
そんな理由もあり、現状家庭でのウミガメの飼育はできないのです。
水族館でのウミガメ飼育
前項でウミガメの捕獲は禁止されているといいましたが、水族館などの施設では飼育されていますよね。そのウミガメたちは何処からきているのかというと、多くが飼育施設で繁殖して生まれたものなんです。
捕獲は禁止されていますが、繁殖したものに関しては元々自然界にいたものではないので捕獲の許可は必要ありません。
ウミガメの繁殖はウミガメを飼育している施設の全てが行っている訳ではありませんが、繁殖設備がない所は他の繁殖させている施設から子ガメを譲り受けて飼育している場合もあります。
また、稀にですが、漁業用の網に引っかかるなどしてケガをしたウミガメの保護を依頼されて引き取るということもあります。
ウミガメを飼育している施設でも、自然界でのウミガメ保護のための規則は順守して飼育しているんですね。
さて、ウミガメの飼育は実際にどのように行われているのか、なにか特別で難しいテクニックが必要なのかと思いますよね。
でも実は、大きな水槽などの設備は必要ですが、飼育自体は難しくはありません。
ウミガメの成体は体が丈夫で多少の環境変化はものともせず、エサも魚介類などを1~2日おきに1~2㎏あげるだけで基本的にはOKなんです。
また、アオウミガメなどの草食性のウミガメには「キャベツ」をあげることもあります。
エサやり以外で細かいところをいうと、他にも太りすぎないようにカロリー計算や重量測定をしたり、採血して健康チェックをしたり、より健康に飼育できるように日々お世話は欠かせません。
また、体が大きいが故の移動の難しさや、飼育者がケガをしかねないなどの問題もあります。
しかしながら、ウミガメは体が大きいというだけで、飼育の基本的なところは家庭で飼えるクサガメとかミシシッピーアカミミガメの飼育のイメージとあまり変わらないんですよ。
日本の水族館でよく見る「アオウミガメ」と「アカウミガメ」
日本の水族館では、「アオウミガメ」と「アカウミガメ」の2種類のウミガメが多く飼育されています。
日本の沿岸で繁殖しており、特に数多く生息しているのもこの2種のため、日本所縁のウミガメということで飼育・展示されているんですね。
またこの2種は、名前はアカ・アオと一字しか変わらずよく似ていますが、外見はいくつか違いがあり、慣れればすぐに見分けることが出来ます。
まず、アカウミガメは全体的に赤茶色の体色であり、頭がかなり大きいのが特徴です。対して、アオウミガメは黒~濃褐色の体色で、アカウミガメに比べると頭が細いのが特徴です。
ここで、アカウミガメが赤(赤茶)っぽい色が名前の由来であることは分かりますが、アオウミガメは黒~濃褐色ということで「なぜアオウミガメという名前なのか?」という疑問が出てきますよね。
実はcheckアオウミガメの名前の由来は、体の外側ではなく内側の色、つまり肉(脂肪)の色が緑色というところからきているんです。
「青じゃなくて緑?」という声が聞こえてきそうですが、日本では昔から緑色のものを「あお」と呼ぶことがあります。
緑のリンゴのことを「青りんご」、信号機の緑のライトのことを「青信号」と呼んだりするのがいい例です。
日本ならではの色の呼び方が名前に使われた結果、「アオウミガメ」という名前になったという訳なんですね。
または、「アカウミガメ」に対して「ミドリウミガメ」ではなく「アオウミガメ」という方が語呂がよかったのかもしれませんね。
ちなみに、アオウミガメの英名は「green tartle(グリーンタートル)」です。これを日本風に訳すと「ミドリガメ」になりますよね。
しかし、日本で「ミドリガメ」というと、一般的には体色が鮮やかな緑色の「ミシシッピーアカミミガメ」という全く違う種類のカメになってしまいます。
今度は「ミドリガメなのにアカミミガメ?」となり、ややこしくもありますが面白い話だと思いますので、誰かと水族館でアオウミガメを見る機会があれば、話のネタにしてみてはいかがでしょうか。
まとめ
・ウミガメ類の捕獲は様々な条約により原則禁止されている。
・水族館などのウミガメは繁殖させたものが多く、設備が整っていれば飼育も比較的容易である。
・水族館でみられる主なウミガメは「アカウミガメ」と「アオウミガメ」。
ウミガメの飼育は体が大きい、海中で暮らすという問題はありますが、飼育自体は特別難しくはありません。また、エサの時には一目散に近寄ってエサをねだるなど、とても可愛らしい面を見せてくれます。
水族館によっては、ウミガメのエサやり体験を実施しているところもあるため、家庭で飼えない分そういったイベントで「ウミガメの飼育体験」をしてみてはいかがでしょうか?
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