南国に住むペンギン ケープペンギンの話

ケープペンギン ととナビ

ペンギンは水族館や動物園で見ることができる飛べない鳥として有名ですが、ペンギンのイメージは南極などの氷や雪の上で生活しているイメージがあると思います。

ですが実は世界に18種類生息するペンギンの中で、わずか4種類しか南極で繁殖する種類はいません。

この日本の環境でしかも屋外でペンギンを展示しているところが多くあります。実はペンギンの種類の中でも暖かい地域で暮らすペンギンはたくさんいます。

その中でも今回は水族館でも多くみられるケープペンギンについてお話します。

ペンギンの体

くちばし:ペンギンのくちばしの内側と舌と喉の上部には、柔らかい棘が後ろ向きにぎっしり生えています。水の中で滑りやすい獲物を、重力に頼らずしっかりとくわえて飲み込むための仕組みです。

実は長い脚:脚が短くて動きがぎこちないイメージのペンギンですが、ずんぐりした体型の下には長くて可動性のある脚の骨が隠れています。よちよちした歩き方は、実は振り子の原理を利用して体力を温存するためだと考えられています。事実巣まで数キロ歩いて帰る種類もいます。

目には水中ゴーグル:目には鳥類特有の瞬膜と呼ばれる薄い膜がまぶたの代わりに目の表面を覆って保護しています。水中に入ったときに瞬膜で目を覆うことでゴーグルの役目をしていて、水中での高い視力を維持します。

水中飛行:ペンギンは飛べない代わりに水中を飛ぶように泳ぐことができます。フリッパーと呼ばれる大きな翼をオールのように水をかく事で推進力を生みだしています。

方向転換は足で制御し、急な方向転換も自由自在にできます。また肩の関節が十分に回転するため、翼を前後に動かすことができます。この特徴を持つ鳥はペンギンとハチドリだけなのです。

ケープペンギンの特徴

ケープペンギンは体長60~70㎝程度あり、ペンギンの中でも中型の大きさです。

温暖な地域で生息し、アフリカ大陸で繁殖する唯一の種類です。

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名前も南アフリカのケープタウンで多くみられることから、ケープペンギンと名が付きました。

ケープペンギンの体色

ペンギンは成鳥と幼鳥では体色が異なることでも有名です。ケープペンギンの場合、

成鳥背中と尾は黒で、腹部は白く、個体ごとに異なる黒い斑点があります。頭部は黒く、目とくちばしの付け根から白く太い帯が目の上と耳の辺りを通り、喉から白い部分と繋つながっています。

胸の上部にはアーチ状の黒い帯があり、体の両脇から翼の下通り足の付け根の内側まで続いています。瞳を囲むピンク色の皮膚は、上くちばしの付け根までつながっています。

幼鳥頭部と背中は青みがかった濃い灰色をしています。腹部は黒く、あごと喉は薄い灰色をしていて、成鳥にはある帯模様はどこにもありません。

ヒナ頭部、喉、背中は茶色で、通常顔の部分は色が薄くなっています。腹部は白く、体全体的にフワフワな羽毛で覆われています。

幼鳥から成鳥の体色に変わるまでには、2年以上はかかると言われています。

ケープペンギンの鳴き声

息を吸って出す甲高い音と、息を吐いて出す大きな音を使い分けて鳴きます。例えて言うなら人にもよると思いますが、私はロバの鳴き声に似ていると思いました。

野生のケープペンギンは何を食べている?

飼育しているペンギンたちは水族館にもよりますが主に、小さなアジや小さなイカ、イカナゴやオオナゴを食べています。

野生のケープペンギンは主に、群泳する小魚のイワシやサバ、またイカや小さな甲殻類も食べています。

通常は水深30mかそれより浅い場所で餌を採りますが、実は水深130mまで潜ることができます。

ケープペンギンの繁殖

ペンギンは日本と同じく一夫一妻制と言われており、一度カップルが成立し夫婦となると一生そのペアで添い遂げます。中にはペアが変わるときもあるそうですが、それは人も同じですね。

野生下では夫婦で交尾をし、メスが卵を産むと、どちらか片方が抱卵し片方が餌を採りに海へ出ます。帰ってきたら胃袋に貯めた餌を口移しで抱卵していた相手に与えてあげます。

ケープペンギンの抱卵期間はだいたい38~48日で夫婦ともに1~2日の交代制で抱卵を行います。産まれてきたヒナはすぐに親から餌をもらい食べるようになります。

羽根の色が徐々に変わり、生後60~130日ぐらいで巣立ちをしていきます。

ケープペンギンの天敵

海上ではサメやミナミアフリカオットセイなどの大型の肉食生物です。陸上ではマングースや野生化したネコ、さらにはおおきなカモメやヘビ、ネズミなどが場所によって脅威となるようです。

また人間による港や住宅地の開発によって生息地の縮小、タンカー事故による油の流失などによって数が減少傾向にあります。そのためケープペンギンは絶滅危惧種ⅠB類(IUCN2012)に指定されています。

水族館のケープペンギン

現在多くの水族館でケープペンギンを飼育していますが、個体ごとに健康管理をしなければいけませんので、個体識別のための印を翼に付けています。

私達は翼帯と呼び、全羽の翼の付け根にカラーバンドを付けています。定期的な体重測定、採血による検血、脚やくちばしのチェックと手入れなどの健康管理を行っています。

また、水族館での繁殖も多く行われており、中でもペンギンが育雛(いくすう)放棄した場合などには人工育雛を行い、人の手でヒナが自分で餌を食べられる大きさになるまで育ててあげます。

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またイルカのようにトレーナーがペンギンに指定された場所に行くように指示を出してペンギンがその通りに動くというトレーニングなどを行い、人の元で生きるペンギンたちがスムーズに、長く元気に生きていけるように様々な工夫を行っています。

ペンギン担当の飼育スタッフは何度もペンギンにつつかれたり噛まれたりしていますので、手や手首、腕などが心配になるほどアザだらけになっています。

しかしペンギン好きのスタッフはそれを勲章のように思っているようです。

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