皆さんはこれまで何種類のイカを召し上がりましたか?
唐突な質問、かつ今まで食べたイカの種類やまして数なんかを覚えている人はそうそうにいないかもしれません。
何せこの日本にはイカを食べる機会は数多くあり、お寿司屋さんのイカ握りはもちろんのこと、ゲソ焼きや活造り、居酒屋にいけばイカの姿焼きやホタルイカの沖漬けなどイカ料理はふんだんにあります。
さらに北海道には元祖森名物のいかめしがあり、駅弁フェアでは必ずと言っていいほど置いてある有名弁当です。
イカ料理は外食の時だけではなく、家庭では焼きそばにいれて海鮮焼きそばにしてみたり、八宝菜などの中華にも大活躍しますよね。それほどまでにイカは日本の食卓に登場しており、それをひとつひとつ覚えているというのは到底無理かもしれません。
しかし実は世界で食用とされているイカの種類は約30種類ほどと聞けばいかがでしょう?意外と少なく感じませんか?
実は知っているようであまりしらないイカの世界、前回の記事ではイカの種類や特徴について理解を深めていきましたが、さらに身近に迫って食用のイカやイカとタコの違いなど一緒に見ていきましょう。
食べられるイカはわずか約30種類
最初の質問に戻りますが、皆さんはこれまで何種類のイカを召し上がりましたか?食用のイカは実は約30種類しかいないとなると、もしかしたらなんとなくイメージできた方もいらっしゃるかもしれません。
世界中にイカといわれる生物は約450種類確認されており、その中で食用とされているのは約30種類です。
その30種類の中でも日本近海で獲れるいかはスルメイカ、ヤリイカ、コウイカなどが知られ、さしみ用、加工用に幅広く食されています。
そうです、日本産のイカ、かつ刺身で食べているイカは多くて3種類ほどしかおりません。
もちろん地場産地でとれるイカも含めればもうすこし数は増えてきます。しかし全国流通しており皆さんが共通して食べたことがあるイカのお刺身といえば、スルメイカ・ヤリイカ・コウイカが断トツで多いのが現状です。
「いやちょっと待って、旅行に行った際に食べたイカのお造りは地元のイカと味が全然違った!これは全く別のイカじゃないの?」と思われた方もいらっしゃると思います。しかし多くは一般流通しているスルメイカやヤリイカであることが多いです。
ではなぜ味が異なるのでしょうか。それはcheckイカの味は鮮度によって大きく変動するからと言われています。
旅行先でイカを食べたとき、近くに漁港があったりしなかったでしょうか。その日獲れたイカをお造りにするととても甘く普段食べているイカよりもおいしく感じることが多くあります。
ただ全てがこうというわけでもありません。
以前佐賀の呼子で食べた”ヤリイカ”は普段食べているヤリイカと違い触感がコリコリで噛めば噛むほど旨みが出てくる別格の美味しさがありました。
「同じヤリイカなのにどうしてだろう」と思いよくよく聞いてみると、呼子でいう”ヤリイカ”はケンサキイカという別の種類だったのです。
このように地場産地特有のイカに巡り合うこともありますので、その時は是非ともお腹いっぱいに産地のイカを堪能してみてくださいね。
海外輸入の代表イカはアカイカ・マツイカ
先ほどは日本産のイカについて話しましたが、日本は海外からも多くのイカを輸入しております。令和元年ではcheckイカ単体(加工品除く)の輸入量は全体で約10万トン(水産貿易統計より)と言われており、世界各地からイカを輸入しております。
輸入元は上位から中国、ペルー、アメリカと続いています。それらの代表格はアカイカやマツイカなどであり、国内に搬入後主に加工品になって日本で多く食べられています。
こうみると海外から輸入しているイカは日本近海でとれるスルメイカやヤリイカと異なり、加工に特化したイカで絞められていることがわかります。
しかしなぜアカイカやマツイカは加工に使われることが多いのでしょうか。
これは諸説あり食品メーカーによっても見解は異なりますが、一般的に言われているのは海外輸入のイカは非常に味の癖が強いことが挙げられます。
そのためフライや煮つけに使うことでイカの風味を他の味と調和することでイカの旨みが強い料理として作り上げることができます。
対してお刺身や海鮮丼など素材本来の味を単体で楽しむ料理だと非常に味が強いためあまり適しておりません。
そのため海外輸入のアカイカやマツイカは加工品として使われることが多いのです。
イカの栄養について
日本産や海外産のイカについていろいろとみてきましたが、イカにはまだまだ隠された情報がたくさん持っています。
その中でもイカはダイエット食品、しいては健康食品として有益な効果をもっていることをご存じでしょうか。
実はcheckイカは低カロリー、低脂肪、高たんぱく質であり、またコレステロール値を下げ、動脈硬化を抑制し、肝機能を増強し、眼精疲労を回復するなどの薬理効果も報告されています。
調理レシピサイトとして有名なクックパッドで「イカ ダイエット」と調べると170点近くのレシピが挙げられており、見ているとイカのサラダやこんにゃくと炊いたもの、豆乳トマトスープなどが掲載されています。
ただまだまだ認知度は高いほうとは言えないので、是非ともこの記事でいろいろとイカのメリットを感じ取ってもらえたらありがたいです。
さて、いろいろと料理にされているイカですが、イカの旨味成分をご存じでしょうか。
旨味成分と言えばイノシン酸でしょ!と思われたそこのあなた、非常に博識ですがイカに限っては違うのです。
実はイカの旨味成分は分解過程のイノシン酸の一歩手前のアデノシン一リン酸という成分であり、これが多く含まれているのが特徴的です。
更に一緒に含まれているグルタミン酸と相乗して旨味を出しています。
栄養学的には良質のタンパク質を含み、低カロリーであるところがダイエット食品としての評価が高い理由にもなります。
更にイカの栄養素の中でもっとも注目されているものは「タウリン」です。タウリンは体重60kgの人の体には約20gが含まれており、特に心筋、横隔膜、脾臓、骨髄、肺、脳、肝臓、腎臓などに多く分布しています。
そして血液中のコレステロールの低下・肝臓の解毒作用の促進・胆石の生成阻止・強心作用・抗不整脈作用・筋肉疲労の回復促進・アルコール中毒の抑制・神経の興奮抑制などいろいろな分野にわたって重要な働きをします。
そのタウリンがイカには多く含まれています。ちなみにタウリンを含む食品の評価は、タウリン/コレステロール比を求め、この値が2.0以上であればコレステロールが多くてもそれを減少させるだけの効果のあるタウリンを持っているという評価になります。
この指標でイカをみると約2.2と基準値を超える値、つまりタウリンが多く含まれています。ほかの代表的な食品では牛肩ロースは約0.8、豚肩ロースは約0.6とイカに比べ割合が低いことがわかります。
余談ではありますがこのタウリンは海産物に多く含まれることがあり、海産物のカキに至っては値が約18.0と多くのタウリンが含まれていることがわかります。
イカは実は健康志向であったことがわかりますね。
まだまだイカの不思議は多く、次はイカとタコの違いを掘り下げてみようと思います。次回も楽しみにしていただければ幸いです。
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