水族館のスター☆バンドウイルカの話

バンドウイルカ ととナビ

水族館といえば誰もがイルカショーを思い浮かべる方が多いと思います。水族館のイルカショーで最も多く活躍しているのはバンドウイルカという種類です。

今回はショーだけじゃ分からないバンドウイルカのすごさをお話していきます。

バンドウイルカの生態

バンドウイルカの名前

英語で「Bottlenose dolphin」と呼ばれ、体の特徴から“筒形の鼻をしたイルカ”という意味があります。

水族館ではバンドウイルカと紹介していることが多いですが、図鑑では「ハンドウイルカ」と書いてあることが多いです。どちらも同じイルカの事を指しており、どちらの呼び方も正しいです。

なぜ二つも呼び方があるかといいますと、もともと1936年にある博士が「ハンドウイルカ」と名付けました。そこから1954年に別の博士が自分の著書に「阪東イルカ」と記述して1957年の目録でバンドウイルカの用語に代えて記述しました。

そしてついに「ハンドウ」よりも「バンドウ」の方が、語呂が良い事もあり多くの水族館でバンドウイルカと呼ばれるようになったのです。

1957年の目録でなぜバンドウイルカに表記を変えたかは分かっていないようです。現在水族館では「バンドウイルカ」と呼ぶように統一しています。

バンドウイルカの体

バンドウイルカのオスはメスより3分の1ほど大きな体をしています。成体の体重で比べてみても最大でメスが260kg、オスは650kgとかなり違うのが分かると思います。産まれた時は体重14~20kg、体長0.8~1.4mほどです。

海で出会った時の識別ポイントは、
  • 背は淡い灰色から暗い灰色、腹部はピンクかかった白
  • ずんぐりした吻(鼻先)。
  • 背ビレは鎌型で高い。
  • 背ビレは背の中央にある。

というところです。ぜひドルフィンウォッチングなどで探してみてください。

イルカの視覚

イルカを始め鯨類の視力は0.1くらいと言われています。しかもイルカの動体視力はかなり優れていて、暗闇の中で一瞬光る獲物のきらめきや、すばやく動き回る魚の群れを的確に見ることができます。

その動体視力の良さから、水族館でもトレーナーがイルカに出しているジャンプなどのサインも小さな動きを的確に区別することができるのです。

イルカの音感能力

イルカは人間が聞こえる音の高さの限界(約20kHz)の10倍もの高さの音(超音波)まで聞くことができます。また、check仲間同士で鳴き音を出し合ってコミュニケーションをとっています。

「鳴く」とは言っても声帯は持っていません。イルカの音は頭の上にある鼻の穴(噴気孔)辺りにある気嚢(きのう)という袋から出しています。

つまりイルカたちの歌声ではなく「鼻歌」ですね。

イルカは音を使って周囲の地形や生き物の位置、大きさなどを感知することができます。これをcheckエコーロケーションといいます。

イルカの前頭部にある「メロン」という器官から音波を出して、反射してきた音を下あごで感知することにより、対象物の大きさ、形、材質、距離などを認識することができます。

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ある水族館ではイルカに目隠しをして、水中の輪っかをくぐれるのかという実験ショーを行っていましたが、このエコーロケーションを持ってすれば簡単にくぐることが出来ていました。

左右の脳が別々

「イルカは片目をつむって寝る」という話は聞いたことがあると思いますが、なぜそのようなことが出来るのでしょうか。

人間の脳は右脳と左脳がしっかり連結していますが、イルカの場合はcheck右脳と左脳を繋ぐ神経線維の数が少なく、それぞれの脳が独立しているのです。

例えば私たちのどちらかの目に光を当てると瞳孔の反射が両目におきます。しかしイルカでは一方の目に光を当てると瞳孔反射が左右の眼で異なっています。

睡眠の場合、私たちの睡眠中の脳は左右の脳波の変動が一致しています。しかしイルカの脳波はその脳波の変化の仕方が左右の脳で異なっており、一方が活発でもう一方が小さな変動が見られます。つまりcheckイルカは片方の脳を休めて眠ることが出来るのです。

水族館のイルカ

イルカの健康管理

水族館のイルカの健康管理は欠かせません。魚とは違って人間と同じ哺乳類という事もあり、医療機器や薬などが多く揃っています。

毎日の体温測定や餌だけでは足りない栄養を補給するためのサプリメント、水分補給や採血、エコーなど様々な健康管理の方法があります。

イルカの訓練

水族館のイルカは最初から華麗なパフォーマンスができるわけではありません。トレーナーとの地道な訓練を重ねて、小さなことからできるようになっていくのです。

ではイルカたちにはどうやって良い・悪いを伝えているのでしょうか。

それは水族館のトレーナーが首から下げているホイッスルがポイントです。犬の訓練にもよく似ていますが、トレーナーが求める良いことをした瞬間にホイッスルを吹きます。そしてご褒美の餌を与えます。

これを繰り返すことによって「ホイッスル=餌がもらえる」という習慣が付きます。これを条件付けといいます。

例えばジャンプの高さを上げたい時も、ジャンプした一番高い場所でホイッスルを吹くことにより、高く飛べば餌がもらえることをイルカに伝えることが出来ます。

逆にそれは悪いことだと伝える方法はいくつかあります。

餌を与えないことはもちろんですが、求めたことと違うことをした瞬間に、イルカに背を向けたり、餌の入ったバケツを引っ込めたり、イルカの前から離れたりと、いったん時間を数秒から数分置きます。これをタイムアウトといいます。

そして訓練を再開し、良ければホイッスル、悪ければまたタイムアウトかその訓練を終わるかという事の繰り返しです。

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悪いことを伝えるよりも、小さなことでもできるだけ良いところ、できたところを見つけてあげればイルカの集中力も上がり、訓練の質も格段に上がります。

これは人間の子どものしつけや、学校の教育、新入社員の教育にも似たようなことが言えるかもしれませんね。

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