食べられないのに「スベスベマンジュウガニ」!?面白いカニの話

スベスベマンジュウガニ とと

冬の味覚の王様とも言われる「ズワイガニ」「ケガニ」「タカアシガニ」などのカニ達。塩気と甘みと旨みと相まって、顔がほころんでしまう位美味しいですよね!

このように、「カニ」と聞くと美味しいというイメージがありますが、中には「食べられそうな名前なのに食べると死んでしまうカニ」なんてのもいるんですよ。

今回の記事では、そんな変わった名前や生態をもつカニの仲間たちを紹介したいと思います。

食べたら危険な「スベスベマンジュウガニ」

一度聴いたら忘れなくなるような名前の「スベスベマンジュウガニ」。大きさは5㎝ほどで、ふっくらとした楕円形な体と名前の通りスベスベな甲羅が特徴なカニの仲間です。

日本でも、千葉県以南の比較的暖かい海の岩場の隙間に住んでおり、潮が引いて露出した岩場でエサを求めて出てきた姿を見ることができるんですよ。

さて、一体なぜこんな変な名前なのかというと、元々カニの種類の中で綺麗な楕円形に近い形をした「マンジュウガニ」というグループがいて、そのグループの中でも甲羅の表面が凹凸も毛もなくスベスベしている特徴から「スベスベマンジュウガニ」という名前がついたんですね。

check

「マンジュウという名前の通り、食べたら美味しいのかな?」なんて思うかもしれませんが、実はフグ毒として有名なテトロドトキシン麻痺性貝毒などを体内に持っており、知らずに食べようものなら死んでしまう可能性もあるんです!

実際にこのカニによって起きた事故の報告は今のところないそうですが、同じく麻痺性貝毒などの猛毒を持つカニ「ウモレオウギガ二」では、実際に死亡例や中毒での入院例などがあるとのこと。

スベスベマンジュウガニで今のところ中毒例が出ていないのは、体が小さめで食べるところがなさそうだからかと思います。

しかし、住処が浅い人目につきやすい岩場であり、また自らが毒を持っているのを知っているのか、他のカニのように隠れずに堂々と出てくるところがあるため、簡単に捕まって味噌汁の出汁にされてしまう可能性もないとは言い切れないでしょう。

注意

(ちなみに、このカニ達の毒は熱しても毒性が変わりません。)

「マンジュウガニなのに食べれないの!?」となんだか名前のせいで誤解されがちなスベスベマンジュウガニですが、見た目はコロンとしておりとても可愛らしいカニなので、磯に行く機会があればぜひ探してみてくださいね!

カニ界のチアリーダー!?「キンチャクガニ」

大きさは5㎝ほど、赤と白のチェッカー柄が可愛く、小さいながらもダイバーやアクアリストに大人気なカニ界のアイドル「キンチャクガニ」

なぜこんなに人気があるのかというと、キンチャクガニは両手のハサミに小さな白いイソギンチャクを持っており、敵を威嚇するときに手に持ったイソギンチャクを振り回す姿が、チアリーダーがポンポンをふっているように見えるからなんですね。

本人としては敵を追いやろうと一生懸命なんですが、小さい体と相まってその姿は「可愛い」としかいいようがありません。

そんな訳で日本では「チアリーダー」の愛称で呼ばれることがありますが、海外では大きな敵にイソギンパンチで勇ましく立ち向かう姿から、英名で「ボクサークラブ」という名がついているんですよ。

このポンポンの正体である小さな白いイソギンチャクですが、このキンチャクガニからしか見つからない種類とされており、「カニバサミイソギンチャク」というそのまんまな名前をつけられていました。

しかし、近年の研究でキンチャクガニからイソギンチャクを取り上げて別の水槽で飼育してみたところ、成長するとキンチャクガニの生息地で普通にみられるイソギンチャクになったという結果がでました。

つまり、キンチャクガニはそこらへんに普通にいるイソギンチャクを利用している可能性が高いことが分かったのです。

さて、本来とは違う姿になって持ち運ばれているイソギンチャクとキンチャクカニの関係ですが、お互いに利益がある「共生」関係だといわれています。

カニにとってイソギンチャクは、外敵から守ってくれる存在であり、イソギンチャクにとってカニは、エサのおこぼれをくれる存在です。

そんないつも一緒なカニとイソギンチャクですが、不慮の出来事でカニがイソギンチャクを片方だけ無くしてしまうことがあります。

そんな時どうするのかというと、なんともう一方のイソギンチャクを二つに分裂させて、元通りの二つのポンポンにするのです。

元々イソギンチャクには体を分裂させて個体を増やす性質があるので、それを強制的に促しているということです。

また、時には他のキンチャクガニからポンポンを奪い取ってしまうこともあるそうです。

「イソギンチャクと離れては生きていけないわっ!」というカニの執着のなせる業ですね。

まとめ

  • ・スベスベマンジュウガニは食べられそうな名前に反して強い毒を持っており、食べると危険である。
  • ・イソギンチャクを持ち歩くキンチャクガニは、お互い助け合って生きている。

普段食べることがないなじみが薄いカニでも、変な名前や面白い生態をもった仲間が沢山います。

知れば知るほど「カニって面白いなぁ」と思うこと間違いなしなので、食べるだけではなく、ぜひ調べて見て下さいね!

コメント

タイトルとURLをコピーしました