早速ではありますが、皆さんはイカのお刺身を食べたことはありますか。
この記事を読んでいる方のほとんどは「何を当たり前のことを言っているんだ」と思われたかと思います。
確かにスーパーに行けばイカのお刺身はほぼ定番で売られています。居酒屋で刺し盛りを頼めばイカ刺しがついてくることは往々にしてあります。九州ではイカ明太も有名ですし、一般流通の中でもイカ黄金は定番のおつまみですよね。
広く知れ渡った生イカ文化ですが、実はイカを生で食べるのは日本ぐらいであることはご存じでしたでしょうか。
世界中で食べられているイカ
基本的に世界の中でも海産物を食べる習慣のある国では、イカが良く食べられる傾向にあります。
日本を始め、中国や韓国、台湾などの東アジアの国々、ベトナム・タイ・フィリピン・インドネシアといった東南アジアの国々、イタリア・スペインなどの地中海沿岸の国々でイカはなじみ深い海の幸として古くから愛され親しまれています。
ただし、生鮮イカ、つまり、お刺身でイカを食べるのは日本ぐらいで、これは世界的に珍しいとされています。私たち日本人にとっては当たり前でも世界では珍しいことって実は多くありますよね。
このように日常生活に当たり前のように存在しているイカですが、実は私たちが知らないことはまだまだあるのではないでしょうか。
今回は当たり前だけど実はあまり知られていないイカについて一緒に知見を深めていきましょう。
そもそもイカとはどんな生き物?
皆さんイカと言えばどのような姿を思い浮かべますか?足が10本で、体が白くて、ヌルヌルしている生き物で、海底二万マイルのクラーケンとしても有名ですね(クラーケンはタコという説もありますが)。
しかし世界にどれだけの種類がいて、どのような生態をもっているかご存じでしょうか。正直、海洋研究者やよほどのイカ好きでなければ知らない方がほとんどではないでしょうか。
イカ類は現在世界で約450種類ほどが知られ、生息地は世界中の温帯から熱帯の海で生息しています。
体長はわずか25ミリのヒメイカというものから、15メートル以上もあるダイオウイカという種類までその形態は様々です。
そう思うと一言でイカといっても、様々な種類がおり、我々が知っているイカはその中のごく一部であることがわかりますね。
そんなイカたちですが一生を通じて群れをつくり、海を回遊しているといわれています。
スーパーマリオのゲッソーのようなイメージをお持ちの方は少し驚きかもしれませんね。意外と集団性を好むようです。
そのため船でイカ釣りの場合、1杯が釣れると続けて2杯、3杯とヒットします(ただ釣りは時と運の影響は大きいですが)。
またイカ釣りで有名なスルメイカには対光行動という習性があります。これは光に対して特定の動きをする習性であり、わかりやすいイメージとしては光に対してスルメイカが集まってくる、というのが代表的です。
近年の研究では光の中でも波長によってスルメイカの行動が異なることがわかってきており、石川県水産総合センター海洋資源部の研究データによると、強い光にはスルメイカは威嚇を、弱い光には駆集する傾向があり、イカ釣り漁には低照度域が非常に重要であると述べられています。
このように光ひとつをとってもイカはまだまだ未知の生き物であり、詳しい生態は不明な点が多く、多くの研究者たちが研究を続けている生き物でもあります。
生物学上では、checkイカはタコと並んで背骨のない無脊椎動物で、「軟体動物」という仲間に入ります。
イカの体は、頭(目と口のあるところ)の下に10本の足があり、頭のすぐ上に内臓があるため、下から足-頭-内臓の順で一直線に並んでいます。
このためイカ類は分類学上「頭足類」と呼ばれています。
ぱっと見た感じだと、イカは大きな帽子をかぶっているように見えますが、この部分は内臓であり、人間でいうと体に値するわけですね。
多くの生き物が上から頭-体-足で構成されている中で、イカの構造は非常に興味深い生き物というわけでもあります。
その知見をもってスーパーや水族館でイカの姿を見てみると、普段とは違って「面白い姿をしているなぁ」と感嘆してしまうかもしれませんね。
イカの種類について
上記の通りまだまだ謎が多いイカですが、皆さんはイカがこの地球上に何種類いるかご存じでしょうか。
数十種類程度?いえいえ、イカの種類は全世界に約500種おり、日本近海では130種類ほど生息しています。
大別すると、石灰質の甲を持つ「コウイカ目」、甲が薄く木の葉状またはひも状の軟甲を持つ「ツツイカ目」に分けられます。それぞれの特徴についてみてみましょう。
<コウイカ目>
読んで字のごとく甲をもつことが特徴的なグループで、体は馬蹄形で胴体の周縁全体にヒレがあります。
頭部にあるcheck口の周囲から出る五対の腕は太く短く、それぞれの足に四列の吸盤を有しているのが一般的であります。
五対のうちの一対の二本は触腕で捕食時に機能するというように、足の使い分けをしているのです。こうみるとイカにもこだわりがあるように感じられて面白いですよね。
また早く泳ぐときは頭部にある尖った漏斗から水を噴射し、その反動で進み、外敵から逃れ隠れるために墨を吐いて逃げるのが特徴的です。
移動方法はまるで潜水艦のようであり、墨を吐いて隠れ蓑にするあたりは忍者のようにも感じ取れます。非常に面白い進化をしてきたのが感じ取れますね。
このコウイカ目のほとんどはコウイカ科に属しており、代表的なものではヨーロッパコウイカ、トラフコウイカ、カミナリイカ、アミモンコウイカ、アジアコウイカ、コブシメ、コウイカ、シリヤケイカなどが挙げられます。
皆さんも一度は聞いてことがあるかもしれませんね。
<ツツイカ目>
コウイカ目とは異なり木の葉状もしくはひも状の軟甲をもつのがツツイカ目です。
胴体は筒形でひし形のヒレを持ち、軟甲を有しております。
その中でも特徴的なのはヤリイカ類であり、彼らは水深200メートルほどの大陸棚を中心に生息し、目には透明な膜が覆われております。
イカの目に膜があるのは一般的なのでは?と思われた方もいらっしゃると思いますが、実は他の種族であるスルメイカ類には、この膜はなく目は露出しております。
またこのスルメイカ類はヤリイカ類と異なり沖合を回遊する特徴があります。同じツツイカ目の中でもいろいろな種類のイカがいるというわけですね。
そんなツツイカ目には代表的な科としてジンドウイカ科、アカイカ科、ソデイカ科、テカギイカ科、ホタルイカモドキ科の5つに分類されております。
それぞれ代表的なイカの種類をあげていくと、ジンドウイカ科はヨーロッパオオヤリイカ、カリフォルニアヤリイカ、ケンサキイカ、ブドウイカ、ヒラケンサキイカ、ヤリイカ、ジンドウイカ、アオリイカが挙げられます。
先に挙げたヤリイカはジンドウイカ科に分類されるというわけです。
つぎにアカイカ科にはスルメイカ、ニュージーランドスルメイカ、アルゼンチンイレックス、カナダイレックス、アカイカなどが挙げられます。
スルメイカはこちらに分類されており、先のヤリイカとは違う科に属していることがわかります。
その他の科ではソデイカ科はソデイカ、テカギイカ科にはドスイカ、ホタルイカモドキ科にはホタルイカが代表的なイカの種類になります。
たしかにスーパーをのぞいてみるとソデイカやホタルイカは見かけますよね。ただこれらのイカたちはじつは違う科に属しているイカというわけです。
見た目やサイズ、はたまた味も異なってくるのはこのように種類が微妙にことなるからだとわかると、自分の好きなイカを見つけやすくなるかもしれませんね。
いかがでしたでしょうか。なかなか興味深いイカの世界、まだまだ面白いことは多くあるので今後も一緒に知識を深堀していきましょう。
コメント