3種類のサバについて
「サバ科サバ属」に分類される「サバ」の仲間は3種類存在します(4種と考える専門家もいます)。
いずれも亜熱帯から温帯海域に生息しています。
日本近海にいるのは「ゴマサバ」と「マサバ」です。
「タイセイヨウサバ」は北部北大西洋産なのですが、実は日本人が「サバ」として親しんでいるのは「タイセイヨウサバ」であることが多いです。
それではそれぞれのサバについて解説していきましょう。
マサバの特徴
日本列島近海、世界中の温帯・亜熱帯海域に生息しています。
群れを作って、沿岸の表層で暮らしています。
身体は紡錘型であり、少し左右に押し潰されたようなフォルムです。
この形からか、「ホンサバ」「ヒラサバ」とも呼ばれています。
どちらも、ゴマサバの別名である「マルサバ」に対しての呼称です。
春~初夏頃から日本近海での産卵期です。
1年で25センチくらい、3年で35センチ以上となります。
最終的な全長は50センチほどで、6~7年ほどで生涯を終えます。
漁獲方法のメインは一本釣り、定置網、棒受網、巻き網などです。
ちなみに一時期はマサバ・ゴマサバの漁獲量が落ち込んでいましたが、近年ではある程度回復・安定しています。
日本では千葉県、島根県、三重県、茨城県、静岡県、長崎県などの漁獲量が多く、養殖もしています。
神奈川県・松輪の「松輪サバ」、愛媛県・佐多岬の「岬(はな)サバ」、大分県・佐賀関の「関サバ」などはマサバに分類されます。
マサバの美味しい食べ方
柔らかい赤身魚であり、脂も乗っています。
夏頃の体脂肪率は10パーセント以下ですが、旬である秋~冬頃には20パーセント前後にまで上がります。
夏にはやや味が落ちますので、やはり旬の時期に食べるのがおすすめです。
竜田揚げ、塩焼き、煮物(味噌煮など)、しめさばなどが人気です。
加工品としては、干物(みりん干し、開き干しなど)、サバ節、缶詰(水煮、味噌煮など)、塩蔵サバ(そのまま焼く。サバ寿司や締めサバの原料にするなど)、ぬか漬け、焼きサバ(福井県の浜焼きサバなど)などが多く出回っています。
ちなみに、山陰地方や北陸ではサバのぬか漬けのことを「へしこ」と言うこともあります。
新鮮な刺身も美味ですが、寄生虫(アニサキス等)のリスクもあるので気を付けなくてはなりません。
ゴマサバの特徴
北海道南部以南、西南~東部太平洋に生息しています。
群れを作り、沿岸の表層で暮らしています。
マサバに比べると暖かい海にいる傾向にあります。
日本近海では冬~初夏が産卵期です。
身体の横断面が円形に近く、「マルサバ」とも言われています。
全長50センチほどにまで成長します。
マサバに比べるとゴマサバの体脂肪は低く、マサバのほうが人気と言えるでしょう。
ただ、マサバは夏に味がやや落ちますが、ゴマサバはほとんど変わりませんから、ゴマサバも重宝されています。
マサバとほぼ一緒の漁獲方法が採用されています。
高知県土佐清水の「清水サバ」はゴマサバに分類されます。
・タイセイヨウサバの特徴
北部北大西洋に生息していて、群れを作って沿岸~沖合の表層で暮らしています。
全長60センチほど。
3~7月頃が産卵期。
漁獲方法のメインは、刺し網、定置網、巻き網などです。
日本近海におけるサバの漁獲量が1980年代に減り、その代わりとしてタイセイヨウサバがノルウェーから多く冷凍輸入されるようになりました。
日本の「サバ」とほぼ同様の調理方法で食されています。
また、脂が乗っているため、日本産のサバよりも美味しいと感じる人も少なくありません。
3種類のサバの見分け方
マサバ:身体の背中側が青緑色。少しぼやけた青黒色もしくは黒い虫食い模様がついています。体側の下半分くらいは銀白色であり、黒色の小さな斑点などはありません。
ゴマサバ:体側の下半分にたくさんの小さな黒点が散らばっています。それ以外の特徴はマサバとあまり変わりません。
タイセイヨウサバ:身体の背中側がはっきりしていて「く」のようなフォルムになっています。切り身の状態でも簡単に区別できることでしょう。
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