バカリャウは、ポルトガルをはじめとする南ヨーロッパ諸国で親しまれている、塩漬けにしたタラの干物です。
新鮮なタラは塩漬けにして乾燥させることで、長期保存が可能になります。
8世紀頃、バイキングが日持ちする干しダラを交易品として各地にもたらしたのが始まり。大航海時代にはポルトガル人にとっても欠かせない食材となり、現在に至るまでポルトガルの食文化に深く根付いています。
また、日本人にとってもタラはなじみのある魚。タラを塩漬けにして天日干した干しダラは、北海道や新潟、石川県などで古くから作られている保存食です。バカリャウよりも塩味が控えめで、煮物や焼物、汁物などに利用されます。
本記事では、バカリャウ(タラ)を使った〝とと(魚/整)のいめし〟について解説します。
管理栄養士が〝タラ〟を美容食としてオススメする理由
高タンパク質で低脂質なタラは、美容食にもぴったりの食材です。
実際、韓国の家庭料理として親しまれている「プゴク」は、干しダラを煮込んだスープのこと。
あっさりとした中に深みのある味わいが特徴で、韓国では「美容スープ」とも呼ばれています。
タラが美容食と考えられる理由を、以下で詳しく解説します。
タンパク質
私たちの体を作るために不可欠な栄養素。
筋肉量の維持は基礎代謝の低下を防ぎ、太りにくい体質に近づけます。
血液の材料もタンパク質です。全身に酸素や栄養を運ぶことで、エネルギーを作り出します。
美肌を支えるのもタンパク質です。また筋肉や内臓、肌だけではなく、酵素やホルモンの材料でもあります。
ビタミンB12
赤血球の生成を助け、貧血予防に効果がある栄養素です。
また、神経細胞の働きを正常に保つ役割も担っています。
美容面においては肌のターンオーバーを促したり、肌の炎症を抑えることで、肌色を明るくしたり、ニキビや肌荒れを改善する効果が期待できます。また、抜け毛や白髪予防にも効果があると言われています。
ビタミンD
骨の健康維持に役立つほか、免疫機能の調節やうつ病の予防、筋肉合成を促す働きがあります。
コラーゲンの生成を助けることは、肌の弾力やハリを保つことにつながります。
ビタミンDは、日光を浴びることで体内合成できますが、強めの日焼け止めなどで紫外線をカットする日本人は不足傾向です。食べ物から積極的に摂りましょう。
このように、美容に気をつかう方にとって、タラは大変オススメできる食材です。
日本でバカリャウは手に入りにくくても、生ダラや干しダラなら簡単に手に入ります。
そこで、次にバカリャウ料理と、簡単なレシピについて紹介します。
毎日食べても飽きない〝バカリャウ料理〟
ポルトガルの国民食・バカリャウは、365日、毎日食べてもレシピが尽きないと言われるほど、
様々な料理に活用されています。
ポルトガルで絶対に食べたいバカリャウ料理 5選
ポルトガルにはバカリャウを使った料理が数多くあります。有名なものを5つ紹介します。
いずれも派手な味付けではなく、バカリャウの旨味と塩味を活かした優しい味わいの料理です。
① バカリャウ・ア・ブラース (Bacalhau à Brás)
ほぐしたバカリャウに、細切りのポテトチップスと卵を混ぜて炒めた料理
② アサード・デ・バカリャウ (assado de bacalhau)
バカリャウの炭火焼き
③ パスティス・デ・バカリャウ (Pastéis de Bacalhau)
バカリャウとマッシュポテトのコロッケ
④ アローズ・デ・バカリャウ(Arroz de Bacalhau)
バカリャウの雑炊
⑤ バカリャウ・グラタン (Bacalhau gratinado)
バカリャウとジャガイモとホワイトソースとチーズで焼き上げたグラタン
いずれの料理も、ポルトガル料理のレストランでは、必ず見かけます。もし、ポルトガルへ旅行される方がいらっしゃいましたら、ぜひお召し上がりいただきたいと思います。
レンジとオーブンだけで作る〝バカリャウ風グラタン〟
ここでは、日本のご家庭で簡単に作れる塩ダラとジャガイモのグラタンをご紹介します。
バカリャウは入手しにくいだけでなく、塩抜きにもコツが必要です。
そこで、バカリャウは塩ダラに代替してみました。また調理にはレンジとオーブンしか使いません。
材料(2人分)
塩ダラ 2切、料理酒 大さじ1、ジャガイモ 2個、タマネギ 1/2個、ホワイトソース缶 290g、
牛乳 150ml、コンソメ顆粒 1個、シュレッドチーズ 200g、レモン 1/8切×2
作り方
① 耐熱皿に塩ダラを並べ、酒をふり、ふんわりラップをかけて電子レンジ600Wで4分加熱。
しっかり火が通るまで加熱を繰り返します。
② しっかり火が通ったら、袋に入れて骨や皮を取り除いて、大きめに身をほぐします。
③ さいの目状に切ったジャガイモと薄切りにしたタマネギを、タラを取り出した耐熱皿に入れます。
ラップをかけて電子レンジ600Wで5分加熱。ジャガイモが柔らかくなるまで加熱を繰り返します。
※タラの蒸し汁も捨てずに、そのまま、タラの旨みをジャガイモに吸わせます。
④ ②と③をホワイトソースで和え、オーブン皿に入れ、チーズをたっぷりのせてオーブン200℃で14分焼きます。あつあつのグラタンを取り分けたら、お好みでレモンを絞ってどうぞ。
とても簡単で、ボリューミーなのに、栄養も満点の整いめしです。ぜひお試しください。
プロフィール
GLOCAL EATs
ソーシャルデザイナー 石松 佑梨(いしまつ ゆり)
サッカー日本代表選手をはじめ、世界で活躍するトップアスリートの専属管理栄養士として食トレを提供する。次代を担うジュニアアスリートの食育にも力を入れる。近年では雑誌や商品、レストランなどの栄養監修に携わる一方で、絵本作家としての活動に注力している。
著書:過去最強のコンディションが続く 最強のパーソナルカレー(かんき出版)
インスタグラム:personal_curry
ホームページ:https://glocaleats.recipee.net
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