猛毒を持つストーンフィッシュ オニダルマオコゼの話

オニダルマオコゼ とと

世界の海には毒を持つ魚が数多く生息しています。体の中の内臓や筋肉に毒を持つもの、毒の入ったトゲを持つもの、身体の粘液に毒があるものなど様々です。

その中でも毒の入ったトゲ(刺棘)を持つ魚(刺毒魚)は世界で約200種が知られており、日本国内には約150種が生息していると言われています。

今回はその刺毒魚の中でもかなり強い毒を持つオニダルマオコゼという魚のお話をしていきます。

オニダルマオコゼの生息地

日本では小笠原諸島や奄美大島以南など暖かい熱帯の海に生息しています。サンゴ礁域や浅海の岩礁域などのサンゴや岩の隙間、砂の中などに潜って身を隠しています。

オニダルマオコゼの体

とにかく見た目はcheck岩や石にそっくりです。

体長40cmほどで、丸っとした体に眼が上を向いています。全身にゴツゴツとしたコブがあり、大きな胸鰭で体を支えるように海底をゆっくり移動していきます。

背鰭の棘に猛毒があり海外では人の死亡例があるほどです。

毒棘のしくみ

オニダルマオコゼの背鰭には12~14本の棘があり、その1本1本に毒を含む“毒のう”という毒液の入った袋状の組織が1棘に対して一対ずつ付随しています。

この棘が人に刺さると毒のうの中の毒液が体内に入り障害が起きてしまいます。

刺されるとどうなる?

オニダルマオコゼの毒棘が刺さってしまうと、激しい痛みが続き、刺された箇所が大きく腫れたり赤くなったり、ひどくなると衰弱やけいれん、呼吸困難などの全身症状が起きます

最悪の場合は死に至ることもあります。

オニダルマオコゼや他の刺毒魚を毒性で比べてみました。1尾から得られる背鰭の刺棘に含まれる毒で体重20gのマウスをどれくらい殺せるかというまとめを見てみましょう。

魚種試料魚1尾で殺し得るマウス(体重20g)の匹数
オニダルマオコゼa  11,800
b12,100
c13,000~26,000
オニオコゼa   230
ミノカサゴa110
ハナミノカサゴ 240
ネッタイミノカサゴ150
キリンミノ250

以上の結果を見るとオニダルマオコゼの圧倒的な毒性の強さが分かると思います。

仮にマウスと人が同じような感受性が有れば、オニダルマオコゼ1尾で体重60㎏の人を4人は殺せることになります。

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オニダルマオコゼの背鰭は12~14本あり全て毒棘がありますので、3本程度の棘の毒が体内に入ると死亡する可能性があると言えます。

どんなときに刺される?

近年ダイビングなどのマリンスポーツが盛んになっていたり、海洋開発に伴う海中作業の機会が多くなっていることなどから、刺される事故はますます増えているといいます。

オニダルマオコゼは背鰭に毒棘を持っているので、石と間違って踏んでしまったり、触ってしまったりというケースが多いようです。

浜から近い浅瀬にも普通に生息していますので、check暖かい海ではまず裸足にならない、むやみに石を踏まないように用心しなければいけません。

刺されたらどうしたらいい?

オニダルマオコゼに限らず毒棘を持つ魚に刺されてしまった場合は、応急処置ではありますがやけどしない程度のお湯に患部を浸すと症状が和らぎます。

ただ刺さった毒棘は簡単には取れませんのですぐに病院に行って処置をしてもらいましょう。

水族館でのオニダルマオコゼ

オニダルマオコゼは石に擬態するということもあり、全く動きません。たまに移動したりするぐらいで、泳ぐ姿は滅多に見ることはできません。

餌の時間だけは動かない魚とは思えないほどの速いスピードで餌を食べます。口が上向きについているので、棒の先にキビナゴなどの小魚を付けて生きているように揺らしてオニダルマオコゼの上で見せてあげると、一瞬で口を開けて飲み込んでしまいます。

おそらく餌の気持ちになるといつの間にか口の中にいる…という感じでしょうか。

それ以外は全く動かない上に石にそっくりな為、よく何もいない水槽と勘違いされることがあります。そこは解説文や写真などを工夫してなんとか見てもらえるようにしています。

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