【トトノイメシ】福島県の阿武隈川が育む、メイプルサーモン

管理栄養士日記

12月の記事では、福島県 郡山の鯉についてご紹介しました。今月は同じ福島県でも、白河エリア。那須との県境辺りで養殖をされている「阿武隈川メイプルサーモン」のお話です。

〝阿武隈川メイプルサーモン〟とは?

見学させていただいたのは林養魚場さん。卵から出荷まで一貫生産され、安心して生食できるサーモンを製造されています。発送直前にこだわりの方法で活〆し、生食での美味しさにこだわった上品な脂とうまみが特徴のサーモンです。また養殖・加工業のほかにも、自然公園やフィッシングパークの運営や、飲食店の経営もされています。ここでは大自然の中でのます釣りのほか、バーベキューや宿泊も楽しめます。

白河の水と空気、自然の中だから育むことができるブランドサーモンです。その自然を守っていくことも、大切になります。季節ごとの美しい花が咲く里山も、社員の方々が管理されていました。ここで働いている人たちは、魚の養殖に直接関わることだけでなく、必要だと思うものを、何でも自分たちの手で作り出したり、考えられたりしているのが大変印象深かったです。

阿武隈川は、この西白河エリアをスタートに、郡山市、福島市を通って宮城県にまで続き、太平洋に流れていく大河です。郡山の人たちのイメージでは汚い川というイメージが強いのだそうですが、源流にはきれいな空気があり、自然の中で流れる阿武隈川はとても美しいものでした。

阿武隈川メイプルサーモンは、那須連峰から流れるきれいな水で育つサーモンです。

タンパク質不足問題を解決する〝養殖魚〟への期待

養殖魚は、近い将来に訪れるタンパク質源不足を解消するサステナブルなしくみです。林養魚場さんのノウハウは国内だけでなく、海外からの相談も多いのだそうです。実際、現時点でも全国各地に養殖場が増設されています。

養殖システムには、かけ流し式と循環濾過式があります。かけ流し式が、自然の中での養殖システムであるのに対し、循環濾過式はプラント内で行われる量産型のシステムです。

今回私が見学させていただいたのは、かけ流し式システムの養殖場です。それは、とても美しい環境の中にあります。厳しい気温の変化など自然に近い環境での養殖は鯉たちにとって過酷である一方、身の引き締まった魚になるのだそうです。その自然の中でしか、作り出せない価値のブランド魚です。ただし、その生存率は10%程度。非常に厳しい数字です。死んでしまった魚も田んぼの堆肥として利用しているそうですが、生産効率がいいとは、いえません。

一方で、食糧不足の課題に向き合った仕組みがプラントシステムです。工場での養殖と聞くと、不自然で劣悪な養殖環境をイメージされる方もいらっしゃるかもしれません。一般的に密度の高い環境で育てた魚はストレスが多く、ほかの魚の尾びれを食べたりしてしまうことが多いのだそうです。しかし、林養魚場では水温や量、流れ、餌の量やタイミングなども、常にモニタリングできる環境(携帯電話で常にコントロールできる状況にあるのだそうです)で、随時、魚たちにとってストレスのない状態に調整しているため、ぷっくりとした体つきで、尾びれもきれいに育つ。これが、魚たちにとってストレスの少ない環境である証拠なのだそうです。また、この生産方法によって、生存率を80%にまで上げることができました。では、 量産型システムで生産量を上げて、安く販売できるようになったのかというと…… 量産型システムの問題が年々上がっていく電気代。管理コストがどうしてもかかり過ぎているのが今の課題なのだそうです。

〝育てて食べる〟未来に伝えたいおいしさ

林養魚場さんでは、魚たちを育てる環境もエサも大変こだわられています。さらに魚は出荷前に通常よりも長めに貯蔵池に入れ、胃腸の中をからっぽにするそうです。また発送直前に、こだわりの活〆方法で、心臓ポンプは止めずに、しっかりと血抜きを行うため、鮮度抜群の臭みがない美味しいサーモンを提供できます。

このようにメイプルサーモンは生食での美味しさをとことん追求した魚です。もちろん、生食で美味しいものは調理しても美味しい! 煮ても、焼いても、揚げても…どんな料理にも適します。レストランでは、メイプルサーモンのマリネをはじめ、自家製のトラウトスモークや、イワナのフライ、トラウトカレーなども食べることができます。私たちがいただいたのは、その日のスペシャルメニューだった「メイプルサーモンのドリア」でした。

栄養学については、一般的なサーモンの範疇でしかお話できませんが、良質なタンパク質であることはもちろん、強い抗酸化作用を持つアスタキサンチンや、抗炎症作用が期待されるオメガ3系脂肪酸も豊富に含みます。特にオメガ3系脂肪酸は酸化しやすく、調理に不向きであるため、生食での効率的な摂取が適します。

いずれの栄養素も日々のストレスから細胞を守り、速やかなリカバリーを促す栄養素です。子供の成長や私たち大人の美容や健康のためにも積極的に摂りたい食品ですね。

プロフィール

GLOCAL EATs 
ソーシャルデザイナー 石松 佑梨(いしまつ ゆり)
サッカー日本代表選手をはじめ、世界で活躍するトップアスリートの専属管理栄養士として食トレを提供する。次代を担うジュニアアスリートの食育にも力を入れる。近年では雑誌や商品、レストランなどの栄養監修に携わる一方で、絵本作家としての活動に注力している。

著書:過去最強のコンディションが続く 最強のパーソナルカレー(かんき出版)
インスタグラム:personal_curry
ホームページ:https://glocaleats.recipee.net

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